くすりの話

2015年11月30日

くすりの話 184 製薬会社の不正

イラストQ:病院で扱う薬で、製薬会社の不正があったと聞きましたが本当ですか?

A:製薬会社ノバルティスファーマ(以下ノバルティス)が、高血圧治療薬「ディオバン」の市販後におこなった医師主導の臨床試験で、不正をおこなった事件がありました。

Q:ノバルティスの不正が問題となった医師主導の臨床試験の内容は?

A:高血圧が長期間続くと、さまざまな部分の血管が障害を受け、脳卒中・心筋梗塞・腎臓病などの合併症を引き起こします。
 2007年、この合併症を抑える効果についてディオバンと他の高血圧治療薬を比較する論文(医師主導臨床試験)が発表されました。
 結果は「他の薬と比べて、血圧を下げる効果には大きな差はないが、ディオバンを飲んだ人たちで高血圧による合併症の脳卒中や狭心症などのリスクが半減した」というものでした。
 多くの医療従事者はその臨床試験の結果を信じ、病院によっては他の高血圧治療薬からディオバンに変更したところもありました。

Q:どのような不正があったのですか?

A:上記の論文の発表直後から、「血圧の下がり方が他の薬と変わらないのに、リスクだけが下がるという結果は不自然」といった指摘があり、さまざまな角度から検証がおこなわれました。
 臨床試験の内容を詳細に検証した結果、臨床試験のデータがディオバンに有利になるように改ざんされている事実が判明しました。
 その後の調査で、臨床試験をしていた5大学にノバルティスから多額の寄付金が配られていることも判明しました。またノバルティス社員がその身分を隠して、大学職員の肩書で統計解析担当者として論文作成に関わり著者に名を連ねていたこともわかりました。
 この臨床試験に関わった医師、研究者が利益相反関係を隠ぺいしていたこと、データをねつ造していたことが大きな社会問題となりました。
 ノバルティスは虚偽の医薬品宣伝をしたとして、薬事法違反で起訴されています。

Q:利益相反とは?

A:医師、研究者は患者の利益を守り医学を発展させるためにも医薬品の公正、中立な評価をしなければなりません。しかし、その医師や研究者が金品を提供されたり、製薬会社からの研究者厚遇などで公正さを欠き、製薬会社に有利な研究結果を出す時、「利益相反」行為があったとされます。
 医学論文では著者は製薬メーカーとの利益相反関係(研究助成、謝礼、雇用、顧問関係など)の透明化、開示が求められています。
 このような医学研究に対する不正な製薬メーカーの介入は、真剣に患者の治療をおこなっている医師、薬剤師を裏切るものです。
 患者は不正の最大の被害者です。民医連は再発を防ぐ断固とした措置を国、製薬業界に求めています。

いつでも元気 2015.12 No.290

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