声明・見解

2015年11月27日

【声明2015.11.26】医療崩壊を加速させる財政制度等審議会の建議に断固抗議する

2015年11月26日
全日本民主医療機関連合会
会 長 藤末 衛

 財務省諮問機関の財政制度等審議会は24日、2016年度予算編成に関する建議(意見書)を麻生太郎財務相に提出した。全日本民主医療機関連合会(以下、全日本民医連)は社会保障を徹底的に削減しようとするこの建議に断固抗議するとともに、誰もが安心してかかることができる医療提供体制を確保するために診療報酬の大幅な引き上げを強く求める。
 そもそも閣議で了解された2016年度予算の基本方針は、社会保障費の伸びを15年度概算要求より1600億円も押さえ込んだ6700億円の増加しか認めていない。しかし、この建議では16年度から18年度の3年間は増加分をさらに圧縮し、5000億円弱に抑えるよう求めている。これは「骨太の方針2015」を踏襲したもので診療報酬のマイナス改定にも言及した。
 日本の社会保障費は、高齢者人口の増加や医療技術の進歩などにより年1兆円規模の自然増が必要とされている。にも関わらず、「財政再建」という名目で社会保障費を徹底的に削減する路線がこの間とられている。建議は「重要課題の1つ」として、診療報酬の削減を挙げている。薬の値段とともに医師の技術料も含めた「マイナス改定が必要」と強調しているが、これが現実となれば今でも深刻な医師不足と病院経営の悪化をさらに進行させ、地域医療の崩壊を拡大することは必至である。そもそも診療報酬は安全・安心の医療を提供する基盤となるものである。ところが小泉内閣時代、社会保障費の自然増を毎年2200億円削減する方針が強行され、診療報酬が連続して引き下げられた。結果、医療にかかれない患者が増え、医師不足・看護師不足を引き起こし、病院も廃業に追い込まれる事態が全国で起きた。これ以上の診療報酬引き下げは、国民のいのちと健康を危険にさらす。
 全日本民医連はいのちと健康を守る立場から、財政制度等諮問会議の建議の撤回と誰もが安心して医療にかかることができるよう社会保障の充実と診療報酬の大幅な引き上げを強く求める。

以上

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