MIN-IRENトピックス

2016年1月30日

マイナンバー 届いたら これだけは、気をつけて 弁護士Q&A

 「マイナンバー」(個人番号)の運用が、今年一月から始まりました。編集部に「届いたカードはタンスの奥に大切にしまいました。注意すべきことを教えてほしい」との問い合わせが。マイナンバーに詳しい弁護士の稲見秀登さん(三多摩法律事務所)に聞きました。 聞き手・新井健治(編集部)

「個人番号カード」は申請しないといけませんか?

genki292_14_01

稲見弁護士

 皆さんのお手元に届いた簡易書留の中には、マイナンバーを記載した「通知カード」と、その下に「個人番号カード」の申請書が付いています。同封の案内文書は個人番号カードの申請を推奨していますが、申し込みは任意で、申請しなくても罰則などはありません。
 個人番号カードは顔写真付きのICカードで、免許証と同様に身分証明書として使えます。便利といえば便利ですが、紛失した際の危険性は通知カードより高くなります。個人番号制度が既に導入されたアメリカや韓国では、カードを使って本人になりすまし、お金を借りるなど詐欺事件が起きています。
 他人がマイナンバーを知っただけでは、直ちに何かできるわけではありません。他の個人情報(氏名・住所・生年月日など)と組み合わせると、悪用されるリスクが生じます。ナンバー自体を他人に知られないよう十分注意し、むやみにカードを持ち歩かないようにしましょう。

マイナンバーがないと、年金の申し込みなどができないのですか?

 年金や介護保険、雇用保険、医療保険の手続き、生活保護、児童手当など福祉の給付、確定申告などで、申請書にマイナンバーの記載を求められます。ただ、申請窓口では記載がなくても申請書を受理することになっています。

もし、カードを無くしてしまったら

 通知カードや個人番号カードを紛失しても、罰則はありません。警察に届けるとともに自治体に申し込めば有料(通知カード五〇〇円、個人番号カード八〇〇円)で再交付できます。もし、無くしたカードを悪用されるのが心配なら、自治体に申し込めば番号の変更も可能です。

マイナンバーを使った詐欺事件が心配です

 マイナンバーに関連して、すでに詐欺事件が起きています。「あなたの番号が漏れています。個人情報を守るための手続きが必要です」といった手口で、五〇万円近くを騙し取られた人もいます。
 マイナンバーに関してカードの再交付以外はお金はかかりません。個人番号カードの交付手数料も無料です。お金が絡んだ電話は絶対に詐欺なので、取り合わないで下さい。また、市町村や警察から個人に番号を問い合わせることもありません。そうした電話も詐欺です。十分に注意してください。

マイナンバーがないと、受診できませんか?

 医療機関でマイナンバーを使うことは、今のところありません。ただ、政府はマイナンバーと医療情報(カルテ、診療報酬明細など)をリンクさせることを検討しています。目的は医療費の削減です。
 一定以上の収入のある人には、医療費の本人負担割合を高くすることなどが想定されます。

認知症の世帯にマイナンバーが届きました。どうすればいいでしょうか?

 同居家族がいれば家族が保管、同居していない場合は別居の家族や成年後見人が預かることができます。ヘルパーなどが預かることはできません。番号をメモしたり、コピーをしてもいけません。
 住民票が介護施設にあれば、カードは施設に届きます。施設側は家族がいれば家族に預け、家族がいなければ施設で預かります。
 介護保険の申請などで、認知症の人はマイナンバーの記入が難しい場合もあると思います。厚生労働省は昨年一二月、記入が難しい場合は番号の記載を免除する方針を自治体や事業者らに通知しました。全日本民医連や共産党の小池晃参院議員が対応を求めていたものです。

マイナンバーの問題点は?

genki292_15_01

通知カード同封の説明用パンフレットから

 個人情報が一つの番号に集約されたことで、一度に多くの情報が流出する危険性が高くなりました。たとえ漏洩しなくても、マイナンバーに関連した詐欺事件が多発する可能性はあります。マイナンバーの制度自体が、国民によく知られていません。知られていないからこそ、詐欺集団は不安につけ込むのです。
 弁護士から見れば、マイナンバーが国民監視の強化に利用される恐れがあります。政府が収入や職業歴、要介護度、生活保護受給の有無など、個人情報を把握できます。制度の目的には「社会保障の不正受給の問題を解決する」と明記しています。
 将来は精神疾患の病歴や犯罪歴など、他人には絶対に知られたくない情報へのリンクも想定されます。マイナンバーの適用範囲の拡大には絶対に反対です。


マイナンバーとは
 赤ちゃんから高齢者まで、国内に住民票のある人全員に付けられた12桁の番号。番号は生涯変わらない。社会保障や税、災害対策の手続きで利用。2018年から預金口座に適用することも決まっている(任意だが将来は義務化も検討)。特定健診(メタボ健診)の結果や予防接種の履歴情報を共有するために番号を活用することも検討している。
問い合わせは
総務省「マイナンバー総合フリーダイヤル」
0120-95-0178

いつでも元気 2016.2 No.292

お役立コンテンツ

▲ページTOPへ