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2016年2月16日

被ばく相談窓口をつくろう 民医連のセミナーから(2) 求められるのは“総合力”

 昨年九月に初開催した「被ばく相談員セミナー」で、雪田慎二医師(被ばく問題委員・精神科医)が行った講演概要を前号から連載しています。二回目は、被ばく相談の目的・対象、なぜ連携してとりくむのかをとりあげます。

 二〇一一年三月の東京電力福島第一原発事故後、民医連は生活支援、甲状腺エコー健診、相談活動など、被害者・避難者の生活と健康を守るためのとりくみを様々な形で行ってきました。
 残念ながら、事故後五年が経とうとしている今も、被害者・避難者は日々不安を抱えながら生活しています。そうした中で、全日本民医連の被ばく対策本部会議は、県連、事業所のこれまでの被害者支援の実践や経験をさらに発展させようと、二〇一五年六月に呼びかけました(パンフレット二三頁)。

■安心して話せる窓口に

 さてでは、被ばく相談活動の目的を確認しましょう。まず、被ばくの健康影響について正しい知見を伝えていく必要があります。これまでの研究成果から言えること、現状ではまだ十分に解明されていないことを整理して、わかりやすく伝えます。そして、放射線による健康障害への不安を正面から受け止め、プライバシーにも配慮しながら安心して相談できる場を提供することです。
 被ばく相談の対象になるケースは、福島第一原発事故以降の放射線被ばくや放射能汚染に対する不安や困難です。しかし、すでに私たちは広島、長崎の被爆者の支援活動や相談活動にとりくんできましたから、それらと並行していけば良いでしょう。福島周辺の汚染地域に暮らす住民や原発労働者などの相談も対象になると思います。
 相談窓口は、もちろん恒常的にあることが望ましいですが、単発の健康相談会、何でも相談会という形でも行うことが大切です。そういった相談活動から、健診・受診につなげたり、専門機関へ紹介したり、健康を守る活動をしていきましょう。

■難しい知識は必要か

 相談活動では、それほど難しい被ばくの知識は、必ずしも必要ではありません。もちろん放射線被ばくについて踏み込んだ疑問に出会うこともありますが、実際に相談活動を行っていると、生活上の問題、子育て、介護など多様な相談が持ち込まれます。
 生活相談や生活支援が活動のメインになります。重要なのは「総合性」や「多職種の連携」です。これは民医連の得意分野です。ただ民医連だけで完結する問題は多くありません。共同組織やNPO、ボランティア団体、専門家、行政機関との連携も必要です。

*     *

 今回の話題は、パンフレット四~九頁、一五~一八頁も参照して下さい。次号では、実際の相談外来をリポートします。

(民医連新聞 第1614号 2016年2月15日)

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