くすりの話

2000年12月1日

くすりの話 43 気をつけて、薬の名前

Q:病院で処方される「小児用バファリン」と、市販されている「小児用バファリン」は成分が違うと聞きました。どういうことですか?

A:厳密にいえば、病院で処方されるのは「小児用バファリン」で、薬局で購入できるのは「小児用バファリンC2」といいます。
「小児用バファリン」は発売当初、医療用も一般薬も「小児用バファリン」の商品名で、主成分もともにアスピリンでした。ところが、1981年、インフルエ ンザにかかった小児にアスピリンを投与すると「ライ症候群」を発症する危険性が指摘されました。そのため、安全性の点から一般薬のみ主成分をアスピリンか らアセトアミノフェンに変更し、商品名も「小児用バファリンC2」と変えたのです。
しかしいまも「小児用バファリンC2」は「小児用バファリン」と同じだと思っている消費者がほとんどです。
アスピリンが主成分の「小児用バファリン」は、小児の解熱剤としても使われますが、狭心症や心筋梗塞を防ぐために大人にも処方されています。アスピリンは 血液をさらさらにするため、血栓ができるのを防ぐからです。
「小児用バファリンC2」は、多くは小児の解熱剤として使われます。
こわいのは、似たような名前のためにおこる事故です。「小児用バファリンC2」を飲んで副作用をおこしたのに、「小児用バファリンを飲んだ」と誤って医師 に伝えたため、医師はアスピリンを避けてアセトアミノフェンを処方。さらにひどい副作用をおこした例があります。
最近になってようやく、厚生省も医療事故防止としてまぎらわしい名前に対する規制に乗り出しました。しかし患者さん自身による正確な薬品名の把握と、医師 への正確な伝達もまた、安全性の確保に必要不可欠といえます。
副作用をおこした場合、その薬を薬局に持参し、名前を確認しておくことが必要です。

Q:「小児用バファリン」は同じ名前で違う成分のため混乱するということですが、薬の名前はどうやってつけられるのですか?

A:薬には3つの名前があります。その物質の化学構造を言い表すための化学名と、それを呼びやすくした一般名(あるいは成分名)、そして薬を商品として売り出 すための商品名です。みなさんが目にする薬の名前は、商品名であることがほとんどです。「バファリン」の場合、化学名は2-(アセチルオキシ)ベンゾイッ クアシッド、一般名がアスピリン、商品名がバファリンという具合です。
すべての薬を一般名で呼ぶことができればいいのですが、そこは資本主義の世の中。同じ成分でも他社製品と区別するため、製薬メーカーごとに違う商品名がついています。
処方箋では商品名が使われることが多いため、まず処方箋に書かれている名前をしっかり覚え、余力があれば一般名を覚えておけば確実です。

いつでも元気 2000.12 No.110

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