くすりの話
2000年4月1日
くすりの話 37 インフルエンザワクチン
Q:この冬、子どもにインフルエンザワクチンを打たせようと思って病院に行きましたが、「ワクチンがない」と言われました。なぜこんなことが起こるのですか。
A:昨冬はインフルエンザが猛威をふるい、施設のお年寄りの死亡などが問題になりました。今シーズンは前年の2倍以上、350万人分のインフルエンザワクチンがつくられたのですが、昨年の11月下旬にははやばやとワクチン不足の事態が起きました。
この原因は、
1)ワクチン接種をすすめる情報が普及し、接種希望者が予想以上に多かったこと
2) 一部製薬メーカーの製品が検定不合格になったこと
3) 新聞報道によれば、買い占めを行なった医療機関や施設があったらしいこと、などが指摘されています。
この混乱を引き起こした厚生省の責任は重大です。全日本民医連は12月に、ワクチンの生産・流通の適切な対策をとるよう厚生省に要請しています。
Q:インフルエンザワクチンの効果を教えてください。
A:これは、とても難しい問題です。なぜなら、インフルエンザワクチンについては賛否両論あるからです。
インフルエンザウイルスには香港型、ソ連型などの型があり、毎年流行する型が変わりやすいのです。ワクチンは、シーズンが始まる前に流行が予想される型が つくられます。型に合ったワクチンを打たないと、効果がありません。
ワクチンが有効だといわれているのは、高齢者や心臓、肺などに慢性疾患を持つ人、喘息の子ども、糖尿病や腎不全の人など、ハイリスクグループといわれる、 インフルエンザにかかると重症化しやすい人たちです。
しかし一方で、ワクチンによる副反応が起きる場合があります。可能性としては低いものですが、不安な方は医師とよく相談して接種するかどうか決めた方がよいでしょう。
Q:他のワクチンの効果はどうですか?
A:ワクチンは、いろいろな病原体やその毒素を人工的に殺したり弱めたりしたものです。予防接種をして免疫をつけ、病原体から体を守ります。
ワクチンには、次のような種類があります。
1)不活化ワクチン
病原体を殺したワクチンで、百日咳、インフルエンザ、日本脳炎などがあり、予防接種として使います。
2)生ワクチン
病原体を人工的に弱めたもので、ポリオ、BCG、麻疹(はしか)など。
3)トキソイド
細菌の毒素を弱めてつくったもので、ジフテリア、破傷風など。
予防接種は、病原体から体を守る有効な手段です。最近では改良もすすんでいますのでを、予防接種を受ける時期や間隔、受けてはいけない病気や体質などの注 意をきちんと守り、積極的に接種されることをおすすめします。
いつでも元気 2000.4 No.102
この記事を見た人はこんな記事も見ています。