くすりの話

1999年8月1日

くすりの話 31 育毛剤よりすごい? 発毛剤

Q:最近、発毛剤が発売されたそうですが、どんな薬ですか?

A:大正製薬から6月に発売された「リアップ」は、日本初の発毛剤ということで話題になっています。 成分はミノキシジルというもので、もともとは高血圧治療 剤として開発されていました。しかし、この薬を使用した患者さんに多毛症が認められたことから、発毛剤としての研究がすすめられてきたのです。
用法は1日2回、1回1ミリリットルを脱毛部分に塗ります。
毛髪にはサイクルがあり、成長期の2~6年は、発毛を促する根元の毛包が大きく成長し、新しい毛がはえて太くなります。その後2~3週間の退行期に入ると 毛包も小さくなり、休止期3~4カ月を経て抜けます。そしてまた成長期に入って新しい毛がはえるという具合です。
「リアップ」は毛包に働いて成長期の細い毛を太くしたり、休止期の毛包を活性化し、新しい毛がはえてくるのを手助けする作用があります。したがって毛包が なくなってしまった場合は効果が期待できません。
効果についてメーカーのデータでは、半年間の使用で軟毛や剛毛がはえたという人が3割弱、脱毛が止まったり産毛がはえたりした軽度の改善は7割強となっています。
いままでの育毛剤は、抜け毛を防ぐということでしたが、「毛がはえる」効果という点で画期的という売り込みです。

Q:使用にあたって、注意することはありますか?

A:ふつう、医薬品は医療用として使用し、有効性、安全性が確認されてから一般の薬局の店頭に並びます。しかし大正製薬は、「リアップ」を医療用としてではな く、一般大衆薬として販売する戦略をとりました。したがって、厚生省はメーカーに他の市販薬よりも厳しく、市販後の調査を6年間義務づけています。利用者 にもハガキのアンケートに答えるよう求めています。
副作用として、かゆみなどの皮膚症状のほか、血管を拡張する作用をもつため、心臓疾患があったり血圧に異常があったりする患者さんは、医師と相談のうえ使用した方がいいでしょう。
また「リアップ」の効能は、「壮年性脱毛症における発毛」と「脱毛の進行予防」とされており、いずれも成人男性に限られています。メーカーは女性や未成年 者には臨床試験をしていないので、使用しないよう注意を呼びかけています。
使用にあたっては、連続的に使用しないと効果が出ないので、最低でも3カ月は継続する必要があるようです。
同時に薬だけに頼るのではなく、生活環境の改善も必要かもしれません。直接的な作用はありませんが、育毛によいという大豆製品、緑黄色野菜、魚介類、乳製品なども積極的にとってみてはいかがでしょう。

いつでも元気 1999.8 No.94

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