健康の豆知識

2016年7月5日

こころの健康 (4)対処の仕方 (コーピング) 代々木病院EAPケアシステムズ・臨床心理士 森優貴

 ストレスは「きっかけとなる出来事(ストレッサー)」と「出来事の受け止め方(認知的評価)」、「対処の仕方(コーピング)」、「心身の変化(ストレス反応)」の4つから成り立っているということを紹介しました。今回は「対処の仕方(コーピング)」についてお話しします。
 みなさんは普段、ストレスがあるなと感じたとき、それを小さくするために、どんな工夫をしていますか? 前回は、出来事の受け止め方(認知的評価)がストレス反応に影響しているというお話でした。コーピングも、同じくストレス反応に影響するものです。
 コーピングとは、自分のストレス(ストレッサー、ストレス反応)に対して行う意図的な対処のことをいいます。ストレスへの対処といえば、「趣味に打ち込む」「パーっと飲みに行く」などの気分転換をイメージしがちかもしれませんが、問題の解決を目指したり、気持ちを癒やしたりするものなど、多種多様なコーピングがあります()。
 同じ出来事を経験しても、ストレスだと感じる人と感じない人がいるのは、「出来事の受け止め方」とコーピングに個人差があるからです。また、受け止め方が同じでもコーピングの違いでストレス反応が変わることがあるため、コーピングはとても重要なのです。
 ストレスとうまく付きあっていくには、コーピングを「たくさん持っている」こと、そしてストレスに応じて「柔軟に使い分けられる」ことが大切です。そこで、普段使っているストレスへの対処法、コーピングを書き出してみませんか? 自分が使いやすいコーピングが何か分かると、大きなストレッサーを経験した時や、ストレス反応が強く出た時にも対応しやすくなります。また、色々な種類のコーピングをたくさん持っていると、いざという時に使い分けられ、役立ちます。ストレスとうまく付きあっていけるように、自分にぴったりなコーピングをたくさん探して、持っておけると安心ですね。
 次回は、「(5)ストレスのまとめ」です。

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代々木病院EAPケアシステムズ…2012年、同院健診センター(東京)が、「こころと身体のトータルサポート(健康づくり)」をコンセプトに開設。職場と連携し働く職員のこころの健康づくりをサポートする事業を担う。

(民医連新聞 第1623号 2016年7月4日)

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