いつでも元気

2016年11月30日

認知症Q&A 第12回 1日30分、週3回の運動を 認知症の予防法(2) お答え 大場敏明さん(医師)

 今回は、認知症の予防に有効と言われる運動について解説します。
 近年、適度な運動が身体と脳神経の機能を改善し、アルツハイマー病の予防にも有効であることが分かってきました。あるアルツハイマー病研究センターの所長は、「運動は薬・知的活動・サプリメント・ダイエットより予防効果が期待できる」と述べています。
 そもそも運動不足が、生活習慣病(高血圧・糖尿病・脂質症など)の発症に大きく関係していることは知られています。また、運動不足が認知症発症の重要な因子であることや、活発な高齢者は認知症になりにくいことも明らかになっています。
 人が身体を動かす場合、脳から出た指令を神経が介して筋肉が動きます。同時に筋肉から生じた信号が脳に伝わり、脳を活性化します。つまり脳と筋肉は、相互に刺激し合う関係にあります。
 2012年の研究では、ネズミに2週間にわたってスローランニングをさせたところ記憶に関わる脳の海馬で神経が増殖し、さらに6週間続けると海馬そのものが肥大して記憶能力を増強できたそうです。14年に健康な若者を対象に行った研究でも、短時間の軽い運動が認知機能を高めました。

1日1回の散歩を

 認知症予防に有効なのは、散歩やウオーキングなど「適度な運動」です。適度な運動は全身の血流を良くして細胞を活性化します。1日1回は散歩をして、リフレッシュしましょう。運動の強度として、「息がほとんど弾まない程度」が適切です。風景や出会いを楽しみながら散歩しましょう。
 歩行の目安は1日30分以上、週3回以上。持続するには日常生活に組み込むことです。「ちょっと遠い店まで歩く」など、ポイントを表に示しました。
 手軽にできる運動として、ウオーキング前の準備体操もお勧めです。テレビのラジオ体操を見ながら身体を動かし、その後にウオーキングをする習慣をつければ毎日できます。
 テレビを録画しておいて、散歩前に体操しても構いません。歩行は下半身の筋肉運動が中心です。ラジオ体操は上半身も入った全身運動なので、意識的に毎日の生活に取り入れましょう。

「ながら運動」もお勧め

 私は体と頭を同時に動かす運動を「ながら運動」と名付け、患者さんに勧めています。
 ながら運動は(1)体の運動として、室内で踏み台昇降、室外では歩行運動を行う(2)頭の運動は、しりとりや簡単な計算(足し算や引き算)を踏み台昇降や歩行リズムに合わせて行う、の2つ。しりとりは食べ物や植物の名前など、範囲を狭くすれば頭を使います。30秒1セットを目安に行ってください。
 ながら運動は「コグニサイズ」を紹介したものです。コグニサイズは英語のcognition (認知) とexercise (運動)を組み合わせた造語で、国立長寿医療研究センターが開発。身体運動と認知課題(計算、しりとりなど)を組み合わせた、認知症予防を目的とした取り組みです。
 同センターが愛知県大府市で行った研究によると、軽度認知障害(MCI)と判定された高齢者のうち、コグニサイズをしたグループは記憶力テストの成績が良くなり、脳萎縮の進行が抑えられました。運動による脳委縮の抑制効果を実証した実験は、世界で初めてです。

表

いつでも元気 2016.12 No.302

お役立コンテンツ

▲ページTOPへ