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2016年12月6日

介護・新しい総合事業― 先行する桑名市で起きたこと

 「要支援」の高齢者の介護(通所・訪問)を介護保険から外し、市町村が運営する「総合事業」へ移行する制度改正は来年三月末で猶予期間も終わり、完全実施に。事業内容は自治体次第ですが「安上がりな介護」になる恐れが。二〇一五年四月に全国に先駆けて移行した三重県桑名市の状況を同市の伊賀町居宅介護支援事業所(みえ福祉医療生協)の責任者・長谷川真介さんに聞きました。

半年で介護「卒業」

 桑名市は二〇一四年一〇月から「生活応援会議」を開いています。新規に介護保険を申請し「要支援」と認定された人の支援計画を毎週、数例吟味します。「自立を応援する」という名目ですが、実態は「半年後に卒業(介護サービス終了のこと)できるか」という目線で、担当のケアマネジャーがプランの点検を受ける場です。「アセスメント力が弱いので、ワーキンググループを作り市が指導する」というのが市の認識。
 半年後、利用者が卒業していなければ、再び会議に呼ばれます。利用者が九〇歳でも一〇〇歳でも関係なしです。呼び出し最多の事業所が伊賀町居宅。提出書類やプレゼン準備の手間も膨大、誰でも年をとれば支援が必要になるという自然の摂理も無視した会議ですが、国のガイドライン通りにすすめた結果です。

申請の門前払いも

 介護保険申請時の門前払いも。まず自費のデイ(一回三〇〇〇~五〇〇〇円)がすすめられます。利用者には高く、事業所には報酬の低い事業です。利用するのは払える人だけで、必要な人が外されていきます。
 役所にはサービスが使えない市民から苦情も入っているといいます。なによりこの影響は数値にも表れ、総合事業開始前の二〇一四年四月から高齢者数は増えているのに、認定率は下がっています。
 なお市は一八年度末で現行相当サービスをやめ、職員やケアの基準を緩和したサービスに移行するとしています。(木下直子記者)

(民医連新聞 第1633号 2016年12月5日)

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