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2016年12月6日

“切り捨てるな!”1500人怒り 《ふくしま集会》100万人署名のスタートとして

 福島第一原発事故から五年八カ月。事故は収束せず、今も八万人超が避難生活を続けています。にもかかわらず、政府は来年三月に避難指示を解除し、帰還をすすめる構えです。一一月一三日、福島市内で「とめよう! 原発再稼働 かえよう! 福島切り捨て政治 国と東京電力は責任を果たせ! 一一・一三ふくしま集会」が開かれ、一五〇〇人が「福島切り捨ては許さない」と声を上げました。(丸山聡子記者)

 国と東京電力は、帰宅困難地域以外の地域の避難指示を来年三月までに解除し、損害賠償や支援まで打ち切ろうとしています。集会は、こうした国と東電の姿勢に抗し、「国と東電は最後まで責任を果たせ」「福島第二原発は廃炉に」「全国全ての原発の再稼働は行わず、再生可能エネルギーに転換を」などを求める一〇〇万人署名のスタート集会として開かれました。
 ふくしま復興共同センターの主催で、全日本民医連も参加する原発をなくす全国連絡会が協賛。福島復興共同センター代表委員の斎藤富春さんが主催者を代表し、基調報告をしました。

再稼働はありえない

 全町避難が続く浪江町の馬場有町長は、九〇年の歴史を持つ高校が休校に追い込まれ、町内の小中学生は全国六六〇校に分散していると紹介。「この苦しみの原因を作った東電は、新潟で原発を再稼働させようとしている。全ての原発をなくす、再稼働などあってはならない」と訴えました。
 一〇月に原発反対の米山隆一県知事を誕生させた新潟県の参加者が登壇すると大きな拍手が。原発をなくす新潟県連絡会の小市信さん(新潟民医連事務局長)は、「事故の原因究明なくして再稼働なし」との米山氏の訴えが県民の支持を広げたと紹介。「福島を忘れない。柏崎刈羽原発再稼働は許さない」と結びました。
 岩渕友参院議員(共産)が連帯あいさつ。野党統一候補として当選した増子輝彦参院議員(民進)がメッセージを寄せました。

医療・福祉が足りない

 集会で明らかになったのは、避難指示解除とそれに伴う賠償打ち切りがいかに被災者の思いと現実に背くものか、ということです。
 南相馬市小高区の渡部チイ子さんは、透析が受けられる施設がなく、最も近い施設でもタクシーで往復一万円もかかる、薬局もないと報告。「医療や介護が必要な人は暮らせない。事故を終わったことにして賠償や支援を打ち切るなど、許されない」と訴えました。
 集会に参加していた柴田美穂さんと中村暁さんは、福島市・わたり福祉会のケアマネジャーです。「避難している利用者さんは、避難解除を前に、帰りたい気持ちと帰れるのかという不安で揺れています」と話します。週三回デイサービスを利用している人は戻る先にデイの施設がありません。今は利用料は無料ですが、避難解除後は一割負担となります。「元の生活は戻らず、不安はなくならない。事故を終わりにしようとしている国には怒りを感じるし、声を上げ続けないといけない」と話していました。

原発止めるのは住民

 集会に先立ち、原発をなくす全国連絡会は被災地視察ツアーを実施し、福島第一原発付近や住民が避難している地域を回りました。
 楢葉町の宝鏡寺では、福島原発避難者訴訟原告団団長でもある早川篤雄住職から話を聞きました。早川さんは「これだけの犠牲を出しながら原発推進政策を変えず、福島第二原発も廃炉にしない。この政治を変えるのは住民運動しかない」と語りました。

(民医連新聞 第1633号 2016年12月5日)

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