MIN-IRENトピックス

2017年1月5日

藤末衛会長新春インタビュー 本気の共闘、連携、人づくりで民医連運動の発展期 切り拓く

 二〇一六年をふりかえり、新しい年の展望を藤末衛会長に聞きました。(田口大喜記者)

1年ふりかえって

 二〇一六年三月、全日本民医連は第四二回総会を開催しました。戦争法の廃止、民医連らしい医療・介護の実践、人間的な発達ができる組織をめざそうと、新しい期を踏み出しました。
 この直後の四月中旬、震度七の地震が短期間に二度熊本を襲いました。全国支援は、全県連から一〇三九人、のべ四七一九日、義援金は七八〇〇万円となりました。またMMAT( Min-iren Medical Assistance Team)委員もただちに現地に入り、救援活動本部支援を行いました。今回の熊本地震は、全国のどこでも、いつでもマグニチュード七レベルの地震が起こりうることを示し、全ての県連、事業所で災害時の対策マニュアルの再整備と災害時医療・介護活動を方針化すべく新たな呼びかけも行いました。

新しい政治さぐる

 人権としての社会保障の前進と戦争法の廃止をかかげてたたかった年でもありました。参議院選挙では市民が中心となり「戦争法を廃止し、立憲主義を回復する」の一点で野党共闘を促進し、与党の大勝は避けられました。市民の要求が政党を結束させ、新しい政治のかたちを示す、歴史的なものとなりました。
 共闘の成果と展望がみいだせた一方で、まだまだ課題もあります。平和や立憲主義の問題だけでなく、国民の暮らしを守るための経済民主主義や社会保障を充実させる政策を可視化し、主権者として綱領実現の立場で衆議院選挙に向かいたいと思います。
 将来にわたる生活の安心のためには、医療・介護、年金、保育という社会保障制度だけでなく、雇用、教育などの運動との連帯が大切です。
 世界では、イギリスのEU離脱、ヨーロッパの難民受け入れ問題、アメリカ大統領選挙などに象徴されるように、紛争や経済のグローバリズムでもたらされた貧困と格差拡大の問題解決をめぐって人々が悩み、政治が大きく揺らいでいます。
 またTPPをめぐっては、アメリカの次期大統領やベトナムが見送りを表明するなか、日本政府は推進に前のめりの姿勢を崩しません。これは、日本出身の多国籍企業の要求でもあるからです。
 二〇一五年の学術運動交流集会の国際シンポジウムでは、新自由主義的な医療改革に反対する運動が提起され、日本、韓国、フランスの医療団体からのアピールを発信しました。今年はフランスでシンポジウムが企画され、招待されています。

発展期を迎えて

 日本は世界でもトップの超高齢社会であり、貧困大国です。国は地域医療構想、医療介護削減、国民負担増計画などで乗り切ろうとしていますが、費用削減と効率化一辺倒では、国民の苦難と医療・介護従事者の疲弊が増す危険があります。
 民医連総会では、「医療・介護活動の二つの柱((1)貧困と格差、超高齢社会に立ち向かう無差別平等の医療・介護の実践(2)安全、倫理、共同のいとなみを軸とした総合的な医療・介護の質の向上)」を提起しました。これらを推進するため、各県の医活委員会の再開・発展をめざし、一一月には一一年ぶりに拡大県連医療活動委員長会議を開きました。
 地域の医療・介護施設との本気の連携とともに、HPHに象徴されるように地域のみなさんとともにヘルスプロモーションをすすめていかないことには、地域の健康は実現しません。地域での医療介護ネットワークとHPHなどのまちづくりとしてのヘルスプロモーションが、無差別・平等の地域包括ケア実現の焦点です。そのなかで、SDH(健康の社会的決定要因)の視点で問題をとらえ、解決していくための研究やプログラム、ツール開発にも踏み込みたいと思います。
 この課題には、中小病院と診療所で地域包括ケアを進歩させる「たたかう総合医と専門医」集団の存在と養成が必須で、民医連のフィールドでこそ実現できます。その医師集団とがっちりチームをつくる技術者集団を育成しましょう。

憲法学習の加速を

 昨年は憲法公布から七〇年の節目でした。
 改憲勢力が過半数を占め、国会でも改憲の議論がされようといういま、憲法の前文とすべての条文が国民をどうささえてきたかをいっそう学ぶことが重要です。
 戦争法は実行段階に入り、「駆けつけ警護」の新任務を帯びた自衛隊が南スーダンに派遣されました。医療従事者が戦争に加担させられる可能性も高まっています。当事者として自覚して運動し、戦争参加の拒否を宣言するともに、現憲法の価値を確認する学習と活動を加速させましょう。

*   *

 日本の医療保険制度は世界的に優秀な社会保障制度でしたが、保険料や一部負担金が払えないほど値上げされ、事実上の無保険状態の人が増えました。今や国民皆保険制度は綻びつつあり、貧困の広がりのなかで持続可能性が危ぶまれます。特に国保健康保険制度の改善が緊急の重要課題です。医療にアクセスできない患者が増える中で、民医連がどんな運動と事業をしていくのかが問われています。
 貧困と格差に立ち向かう医療・介護活動と人づくりは一体です。「民医連で良かった」と言える年にしましょう。

(民医連新聞 第1635号 2017年1月2日)

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