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2017年1月24日

知る見る “安倍社会保障解体”(4)介護保険制度見直し 「現役並み」利用料を3割に 先送りされた内容にも要注意

 連載四回目は介護保険制度の改定について。「社会保障の解体」は介護分野で先行しています。負担増や給付抑制が始まっていますが、さらなる改悪が準備されています。昨年一二月九日、厚労省の社会保障審議会介護保険部会がとりまとめた「介護保険制度の見直しに関する意見」の内容をみてみます。(田口大喜記者)

 このとりまとめ案は、「制度の持続可能性」と「世代内・世代間の公平」を理由に、重点化と効率化を名目に給付費削減や負担増を打ち出す内容です。

■利用者負担に関して

shinbun1636_01 現行は原則一割負担ですが、二〇一五年八月から利用者の所得に応じて二割負担へと引き上げられています。今後は「現役並み所得者(年間収入単身で三八三万円以上)」の利用料をさらに引き上げ、三割にする考えが示されました。負担増の対象になるのは在宅サービス受給者の九・七%、特養入所者の四・一%になります。
 また高額介護サービス費(一般区分)も、月三万七二〇〇円の現行の限度額を四万四四〇〇円に引き上げることが示されました。「医療保険との整合性を図る」という理由ですが、「長期間続く介護を医療と同列で扱うべきではない」との反対意見が出ています。

■総報酬割の導入

 四〇歳から六四歳までの介護保険料を現行の被保険者数に応じた「人頭割」から所得に応じて決める「総報酬割」に変更するというもの。経団連や健保組合等の委員から大きな反対の声が上がっていますが、その本質的なねらいは協会けんぽに投入している国庫補助一四五〇億円の削減です。

■先送りとされた見直し

 介護関係者や利用者の声が押し返したと言える部分も。軽度者の生活援助サービスを保険対象外とすることや、利用料二割負担の対象者の拡大、軽度者の福祉用具レンタルの自己負担化などは盛り込まれませんでした。しかしこれらをとりやめたわけではなく、次の見直し時に引き続き検討することが明記されています。さらに、訪問介護の人員基準の引き下げを介護報酬改定で行うことを提案するなど、次期の見直しにつながる内容にも注意が必要です。
 厚労省はこのとりまとめに基づき、今月から開会中の通常国会に予算関連法案として上程される見込みです。全日本民医連の介護福祉部は一二月一四日、厚労省と懇談し、新たなサービスの切り下げや負担増につながる見直しを実施しないこと、前回「改正」の影響を検証し、必要な改善をはかることなどを要請しました。

(民医連新聞 第1636号 2017年1月23日)

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