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2017年2月7日

知る 見る “安倍社会保障解体”(5)介護保険見直し2 生活援助の縮小ではなく拡充を全日本民医連が要望すること

 連載五回目は、利用者・家族に背を向けた“見直し”の撤回、制度見直しに向けたとりくみについて。全日本民医連から厚生労働省に要望したことは――。(丸山聡子記者)

 前回の連載で見たとおり、二〇一七~一八年にかけて予定されている介護保険見直しに、利用者の負担増やサービス削減が盛り込まれています。昨年一二月一四日、全日本民医連は塩崎恭久厚生労働大臣宛てに「介護保険制度の見直しに関する要望書」を提出し、厚労省と懇談しました。

「生活援助の専門性」言及

 要望書では、▼生活援助(訪問介護)について→人員基準や介護報酬引き下げなど、縮小、質の低下につながる制度見直しを実施しないこと、専門職が提供するサービスとして拡充をはかること、▼利用者負担について↓高額介護サービス費の負担上限額の引き上げを実施しないこと、利用料の負担を実施しないこと、などを求めました。
 懇談で全日本民医連からは、「生活援助の人員基準緩和は、専門職以外の人にゆだねていくという意味か。軽度の生活援助は将来的には総合事業に移行させていく方向か」と質問。厚労省は、「財務省は軽度者は要介護1、2と提示しているが、厚労省はそうした定義はしていない。生活援助というサービスの位置づけを、家事援助と同義にとらえているのが財務省。生活援助が専門性を有することについては介護保険部会でも多くの意見が出されており、尊重したい」と回答。厚労省の立場として、生活援助の専門性を一定認める発言をしました。
 また、総合事業への移行に伴い自治体レベルで混乱が生じたり、専門職による現行相当サービスについて単価を下げている自治体があることも民医連側から指摘しました。厚労省は、「専門職が専門的なサービスを提供する上ではきちんとした報酬が支払われるべきだと考えている。市町村の状況を見ながら、適切な対応をとっていきたい」と回答しました。

さらなる“改悪”に注意

 財務省は、昨年一一月の「平成二九年度予算の編成等に関する建議」で、軽度者の生活援助の総合事業への移行、福祉用具等の保険給付割合の大幅引き下げ、軽度者の利用料負担割合の引き上げなどを打ち出しています。利用者、家族介護現場で働く職員からも不安や懸念の声が挙がっています。

*   *

 二月には、予算の審議が行われる国会に向けた行動があります。二月八日には四野党への署名提出行動、二二日は「介護保険『見直し』反対! 実効ある処遇改善を求める院内集会(仮称)」を予定しています。事例を持ち寄り、改善を求めていきましょう。


〈全日本民医連〉
介護保険制度の見直しに関する要望書より(抜粋)

財務省「建議」に関して

1 生活援助や通所介護をはじめとする軽度者のサービスについて、地域支援事業(介護予防・日常生活支援総合事業)に移行させず、保険給付として継続させること
2 軽度者に対する生活援助、通所介護、福祉用具貸与や住宅改修について、保険給付の割合を引き下げないこと
3 利用者負担について、所得や年齢、要介護度の区分による引き上げを実施しないこと

(民医連新聞 第1637号 2017年2月6日)

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