声明・見解

2017年4月5日

【声明2017.04.04】関西電力高浜原発3、4 号機の運転差し止めの仮処分決定を取り消した大阪高裁の決定に強く抗議する

2017年4月4日
全日本民主医療機関連合会
会 長 藤末 衛

 今年3月28日、大阪高裁は、関西電力高浜原発3、4 号機について、大津地裁の運転差し止め仮処分決定を取り消し、運転再開を求めて保全抗告していた関西電力の訴えを認めた。大阪高裁は、関西電力の主張を認め、新規制基準や避難計画など主な争点に「不合理な点はない」とした。全日本民医連は、3.11の教訓を踏まえず、住民の現実の不安に応えない原発再稼働を認めた大阪高裁の決定に強く抗議する。
 大阪高裁(山本郁夫裁判長)は、「東京電力福島第一原発事故の反省と教訓を踏まえ、原発の安全性審査に関する体制は強化された。原子力規制委員会により策定された基準に適合する原発は、審査の過程に不合理な点がない限り安全性を具備する。」と判断を下した。また、高浜原発の事故に備えた住民の避難計画については、「様々な点でいまだ改善の余地がある。」と指摘しながら、対策が検討されていることを理由に2 基の再稼働を追認した。
 しかし、万が一の事故が起こりうるというのが福島第一原発事故の教訓である。大津地裁は「新規制基準に基づく審査に合格しても安全性が確保されたとはいえない。」とし、運転差し止めの仮処分決定を命じた。原発の再稼働にあたっては常に危険性を見落としているとの立場に立って判断されるべきものである。昨年8 月27 日、高浜原発での事故を想定した広域避難訓練が行われたが、悪天候でヘリや船舶が使用できず、住民を陸路で避難させた経過がある。地震・津波・原発事故という福島で現実に起きた複合的事態に対応できるかさえ確認できず、被害想定の甘さや計画の不十分さを露呈させた。再稼働の前提として原子力規制委員会は避難計画の実効性まで審査すべきであり、司法もまた避難計画の実効性まで審理され、判断されるべきである。
 全日本民医連は、国民の生命と健康、安全を守る立場から、原発事故被害者に寄り添い、引き続き、幅広い人びとと連帯し、原発再稼働反対、原発ゼロ、再生可能エネルギーへの転換を求める取り組みを強めていく決意である。

以上

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