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2017年4月18日

きかせて! どんな「職場づくり」してる? 奈良・デイサービスセンターせいび キラリ・ハットで見つめた 同僚たちの「いいところ」

 「職場づくり」のページを新設しました。今月は、奈良・デイサービスセンターせいび(岡谷会)のキラリ・ハット報告を紹介します。「ベテランから新人まで、自由に話せる集団になりたい」という問題意識で試みた職員同士の「いいところ探し」。仕掛け人の奥谷裕之所長にききました。

 キラリ・ハットのしくみはこうです。月一回開く全職員会議で、所長が報告用紙を全員に配ります。用紙には自分以外の同僚の名前があり、各人は次の会議までの一カ月間、その同僚を観察し、長所を見つけて記入し、所長に提出します。誰が誰の観察をしているかは、配った所長しか知りません。あわせて名前が空欄の用紙もつけています。出しても出さなくてもいい任意のものです。
 ひと月後の会議で、全員分のキラリ・ハットを所長が報告。誰が書いたかは伏せたままです。そしてまた前月とは別の同僚の名が記された用紙が配られます。

なぜ始めたか?

 発案者は奥谷所長です。二年ほど前に同デイに着任した所長は、ほどなくしてベテランと若手の間の「溝」に気づきました。
 「仕事がまわらないほど不仲―というわけではないんです。ですが、ベテランが若手の出したアイデアを抑えたり、若手は『分かってもらえない』と萎縮している雰囲気が。『中立』の私の元に両者から個別相談が入ることも…。経験に自信のあるベテランと、新しい試みをしたい若手、両者良いところがあるのに活かせないのはもったいない、と考えました」。
 当初は、報告用紙は使わず、会議で長所を出し合う方法でした。ですが面と向かうと、あたりさわりのない褒め言葉しか出ません。そこで、報告書の形に。無記名にもし、なるべく書きやすいようにしました。

褒められて自信が

 最初は提出に抵抗があるように見えた職員も、参加するように。「キラリ・ハット」の報告場面で、自分の評価に耳をすませる様子がうかがえました。奥谷さんは「誰かが自分の仕事を見てくれて、褒められると嬉しいです。無記名ですが、書き方で誰が今回自分を見てくれていたか、なんとなく分かります」と。
 ベテランは「若手は自分たちの仕事を見て、学んでいる」と実感、若手の新しい発想にも耳を傾けるようになりました。一方の若手も、評価されてやりがいを感じ、自信がつきました。萎縮しなくなると先輩たちの動きにも目が向きます。
 他の同僚が褒められる場面では、あいづちも出て、良い雰囲気。職場に団結が生まれ、変わったと奥谷さんが実感した瞬間でした。

多種多様な利用者を

 「利用者は多種多様。ケアにも多様性が必要です。私たち皆が自由に意見を出せ、やりたいことができれば、良い仕事につながると思います」と、奥谷さん。
 一人の職員の長所を一三人の同僚全員が書いた一三カ月後、キラリ・ハット報告は個人別にファイルし本人に渡されました。その後は、無記名の用紙を配っています。出るのは月に数枚ですが、「いいところ探し」は継続。キラリ・ハットに変わるものを検討しています。

【職場データ】

(事業所)
デイサービス
登録利用者総数80人
約25人/日が通所
(職員)
総数:所長含め15人
男女比:女13 男2
経験年数:10年以上5人、他は数年~10年未満
年齢層:20代後半~60代 平均年齢30代
子育て中メンバー:5人


 職場の身近な悩みを編集部に教えてください。会議を上手にすすめるには? 先輩・後輩の意思疎通? 集団での学習法…? また「こんな職場の悩みをこう解決した」などの経験や「元気なこの職場の秘訣を取材して」「自慢の上司がいる」などの情報もお寄せ下さい。事業所や県が違ってもOK。第3週発行のこの紙面でいっしょに考えます。皆さんの声が頼りです。
◆宛先に「職場づくりのページ」と書いて
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(民医連新聞 第1642号 2017年4月17日)

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