いつでも元気

2017年5月2日

認知症Q&A 家族の会とともに

お答え・大倉弥生さん

※今回は認知症の家族会について、認知症の夫を看取り、今は家族会を運営する大倉弥生さんに答えていただきました。

Q 75歳の夫が認知症と診断されました。家にこもってテレビを見ているばかりで、本人の気持ちが分かりません。どう接したらよいのか、経験者に話を聞きたいです。

(70歳主婦)

 ご主人が認知症と分かった時はショックだったと思います。でもご本人は、もっと大きなショックを受けているはずです。たとえもの忘れがあっても、本人は嫌なことを言われると傷つきやすく、いつまでも覚えているものです。
 行動がちぐはぐでも、いきなり否定的な言葉を投げ掛けないでください。私も認知症の夫をつい怒ってしまったことがありましたが、全く効果がありませんでした。それより、本人の得意なことを生かして何かやってもらうのが良いと思います。
 認知症が進んできた元大工さんに、大工仕事を頼んだことがありました。本人は職人の顔に戻り、あれこれ考えながら一生懸命に仕事をしてくれました。
 夫婦2人きりで24時間過ごすのは、お互いに限界があるので、デイケアセンターの利用をお勧めします。最近は各地で「認知症カフェ」が開催されており、誰でも気軽に参加できます。一度、お近くのカフェを見学してみてはどうでしょうか。
 もう一つのお勧めは、認知症の人を介護している家族のための「つどい」です。私が住んでいる埼玉県三郷市では、10年前につどいが始まりました。この連載を担当しているクリニックふれあい早稲田の大場敏明院長が「家族を支えないと、良い介護はできない」と考え、公益社団法人「認知症の人と家族の会」埼玉県支部に相談、つどいを始めました。既に夫を看取った私は、経験を役立てようと会の運営を手伝っています。
 認知症の人の介護は、他の人に話してもなかなか分かってもらえず、独りぼっちの気持ちになりがちです。つどいに参加して同じ悩みを持つ人と話し合うと、「私だけではない」と励まされます。また、大場先生をはじめ医師や介護事業所のスタッフが参加して、アドバイスをいただけるのも心強いです。
 全国のつどいの開催場所は、認知症の人と家族の会(電話0120・294・456)にお問い合わせください。


64歳の妻が認知症に

清水猛司(若年性認知症家族の会「ふれあい」代表) 

 毎日一緒に暮らしていながら、64歳とまだ若かった妻の認知症には気付きませんでした。息子から「お母さん、同じことを何回も言うよ」と言われ、この一言から認知症とのたたかいが始まりました。
 現在、大場先生や専門家の職員さん、地域包括支援センターなどの力を借り、若年性認知症家族の会「ふれあい」を開いています。
 暴力、徘徊、閉じこもりなど、なかなか人前では話せないことですが、この会では皆が仲間です。何でも話し意見を交換して、日頃のストレスを解消しています。また大場先生も参加して、質問に詳しく答えてくれます。ベテラン職員のお話も分かりやすく、日常生活に参考になります。
 一口に認知症と言っても、さまざまなケースがあります。介護は大変ですが、ふれあいはお菓子を食べながらお茶を飲む気楽な会です。昨年末には近所の居酒屋で食事会を開きました。春には公園に行き、お弁当を食べながら楽しく語り合います。
 毎月最終土曜日午後1時半から、三郷市のギャラリー喫茶「和顔施」(電話048・950・7310)で開催しています。

いつでも元気 2017.5 No.307

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