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2017年5月23日

ブックレットできました 民医連看護の継承と発展を ―全日本民医連看護委員会

 民医連は三月にブックレット『民医連のめざす看護とその基本となるもの』を発行しました。看護スタッフのみなさん、もう手にされたでしょうか? 発行に至った経緯とブックレットの内容を紹介します。全日本民医連の牛渡君江副会長の寄稿です。

なぜ発行したか

 民医連の看護集団は、七〇年代に「民医連の看護の3つの視点」=(1)患者の立場に立つ、(2)患者の要求から出発する、(3)患者とともにたたかう、を確立しました。八〇年代には実践から導き出した「4つの優点」=総合性・継続性、無差別性、民主性、人権を守る運動、を確認しました。これらは民医連の看護の特徴として、日々の実践を発展させる上でのよりどころとなってきました。
 しかし近年、看護管理者の世代交代がすすみ、民医連の看護が持つ本来の価値や意味の認識が薄れがちになっていることや、現場の看護職員から「掲げる理念と自分たちの実践がつながっているのだろうか」という疑問や思いが、語られるようになってきました。
 そこで看護委員会では、これまで培ってきた民医連の看護を継承し発展させていくための検討を始めました。二〇一二年から五年におよぶ試行錯誤の結晶として、このブックレット『民医連のめざす看護とその基本となるもの』が誕生しました。

ブックレットの内容

 I章は「民医連の看護の歴史~民医連創設から今日までの看護の発展」で、民医連の看護を一〇年ごとに振り返っています。
 民医連の看護がどのような情勢のもとで発展し、今日につながっているのか、民医連や医療界の歴史と重ね合わせて理解することで、民医連の看護への確信につなげてほしいです。
 II章は「民医連のめざす看護」と「その基本となるもの」の解説です。
 民医連のめざす看護とは、「民医連の看護実践の根幹に日本国憲法と民医連綱領をすえ、すべての人が人間らしく、その人らしく生きていくことをあらゆる場で援助する無差別・平等の看護」です。「日本国憲法」や「民医連綱領」を根幹とする理由、日本看護協会や国際看護協会の看護者(師)の倫理綱領との関係などにもふれ、説明しています。
 そして、その看護実践のための行動や判断のよりどころとなっている考え方を「基本となるもの」とし、三つに整理しました。
 一つ目は、民医連の医療理念に基づく「患者の見方・とらえ方」です。いのちの平等と個人の尊厳〈患者観〉、変革し発達する存在〈人間観〉、生活と労働の視点〈疾病観〉、患者・住民と医療従事者の共同のいとなみ〈医療観〉の四項目あります。
 二つ目は、七〇年におよぶ「良い看護」の探求から獲得した民医連の看護の「視点・優点」です。
 三つ目は、全日本民医連四一回総会方針で提起された「社会の見方・とらえ方(いのち・憲法・綱領)」です。
 III章では、「民医連のめざす看護の基本となるもの」と、日々の看護実践を統合させるためのツール「評価・検討シート」の活用方法を実際の事例をあげて説明しています。このシートを日々の看護実践やカンファレンス、事例検討会などに活用することで、民医連の看護の継承・発展につないでいくことを狙いとしています。
 巻末には、「看護活動年表」、「民医連の医療理念の確立について」、また民医連の看護集団の発展に大きな役割を果たした故肥田舜太郎医師の論文「現代看護論批判と私たちの立場」(一九七三年)、といった重要文献と「民医連綱領」、「日本国憲法」も収録しています。

様々な場面での活用を

 いま、ブックレットを使った研修会を各地で開いています。「歴史を学び民医連の看護のすごさがあらためて分かった」、「事例を憲法や綱領で考えると発展することを実感した」、「フィールドワークや看護以外の研修でも使いたい」などの感想が寄せられています。
 ぜひ、日常的に使って下さい。経験を持ち寄り交流する場も検討しています。

「評価・検討シート」を現場でも使いやすいよう、チャートを例示して解説。付録のクリアファイルにも注目!
申し込み:保健医療研究所(03-5842-5656)
インターネットでも受け付けています。全日本民医連ホームページの「オンライン書店」にアクセスして下さい。

(民医連新聞 第1644号 2017年5月22日)

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