MIN-IRENトピックス

2017年6月6日

共謀罪 許してはいけない!

 五月二三日、衆院本会議で共謀罪(テロ等準備罪)を新設する組織犯罪処罰法改正案を、自民・公明の与党と日本維新の会などが強行採決しました。「モノ言える社会を守れ」「戦前の治安維持法を復活させるのか?」と各地で、急速に反対の声があがっています。
 全日本民医連は、同月一九日の法務委員会での強行採決を受け、即日抗議声明を発表。「外形で共謀を判断するのは困難であり、幅広い市民の内心を監視・捜査対象とせざるをえない同法案の危険性」は明らかだと指摘。「あらかじめ与党側が決めた審議時間である三〇時間に達したという理由で、一方的に審議を打ち切り採決を強行するなど、言語道断」と抗議し、審議差し戻しを強く求めました。
 また声明は、「安倍政権は、何度も国会で指摘されたにもかかわらず、同法案について『テロ対策』だというウソをくりかえし」、「国民をだまし、同法案を成立させようとねらっている」と指摘。危険な本質を知らせ広範な国民と協力し、廃案に追い込むとの決意も表明しています。
 委員会採決に際しては、委員外の日本維新の会の議員に発言を許し、「審議は十分に尽くされた」と採決を提案させて強行に踏み切る暴挙もありました。
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各地でアクション 危険を知らせる

山梨
 二三日、甲府のスタンディングに過去最多の三二人が参加し、採決強行に抗議。注目を集めました。(今井拓、山梨民医連・事務)

沖縄
 九日、県民広場で二五人が行動。
 採決前に、その中身を県民に知らせようと平和社保委員会で急遽行動を計画しました。マイクアピール、署名などを行い、一時間で署名七五筆、共謀罪を知らせるマンガチラシ八〇枚も配り切りました。
 一八日にも沖縄協同病院前で宣伝を行い、七五人が参加しました。(赤嶺守一、沖縄民医連・事務)

東京
 一九日、定例の宣伝に、二二人が参加しました。駅のコンコースで「戦争法や共謀罪に反対しています」と訴えると、中学生が「ラインを読まれるのは嫌」とチラシを受け取ってくれました。「戦争は嫌。難民になるのも嫌」と署名する人、「署名は大事」と励ましてくれる人も。最高齢の参加者(87)から「戦争法に比べ共謀罪は知られていない」との感想も。一時間で共謀罪三一筆、戦争法一九筆の署名を集めました。(山縣良一、東葛病院・事務)

新潟
 一九日、全国の「一九日行動」の一環で新潟駅前で開かれた「共謀罪廃案一〇〇〇人集会」に、職員約三〇人、健康友の会からも大勢参加。
 森ゆうこ参院議員(自由党)が「法案の責任者が説明から逃げる中での『採決』はあり得ない」と語り、民進、共産、社民、新社会、みどりの各野党の代表も発言。集会後は、繁華街をデモ行進しました。(吉田健、新潟民医連・事務)

神奈川
 一九日、昼休み七人でスタンディング。民医連のプラスターを掲げました。それをじっと見ていた女性は、「五輪のために必要というなら、五輪をやめてほしい」と。「戦争する国づくりのためにゴリ押ししている」と説明すると、「怖い」と話しました。「絶対反対だ」と数人の男性からも激励が。
 声をあげれば広がることを実感。廃案にむけて粘り強くとりくみます。(長谷川貴子、川崎協同病院・事務)

徳島
 一八、一九の連日、憲法共同センターの「『共謀罪』強行採決するな」緊急昼休み宣伝を行いました。一九日は民医連が進行を担当。五〇人以上で「強行は絶対許さない!」と訴え。高校生がプラスターを手に飛び入り参加。連日カンパも寄せられます。
 一二日には民医連単独で宣伝。若手職員全員がマイクを握りました。(楠藤義朝、徳島民医連・事務)

長野
 22日から連日スタンディング(上伊那医療生協)

富山
 二三日、富山協立病院前で県連会長、病院長を先頭に六四人でスタンディング。
 二〇一五年夏から毎週火曜日、戦争法反対のスタンディングを行っていますが、最近は参加者も減少。「五〇人以上で立とう」という事務長の声に職員が再び決起。審議は参議院に移りますが、廃案目指して声をあげ続けます。(武田桂一、富山協立病院・事務)

国連からも懸念の声

 5月18日、プライバシー権に関する国連の特別報告者ジョセフ・ケナタッチ氏が、共謀罪(テロ等準備罪)法案への「深刻な懸念」を表明する書簡を安倍首相宛に送りました。書簡では、共謀罪法案は、不明確かつ対象が広範で権力者が悪用もできる危険があることや、決め方が急すぎて国民が議論する機会を不当に制限していると指摘。プライバシーの保護と救済システムを備えていない「欠陥」もあげ、日本政府に回答を求めました。
 日本政府はこの指摘に感情的に反応。「国連越境組織犯罪防止条約(TOC条約)批准のためにこの法案が必要」と今までの主張を繰り返し、日本より良くない法のある国を懸念すべきだ、とおそまつな感情論を展開。書簡を公開したことにも「強く抗議」しました。菅義偉(すがよしひで)官房長官は、特別報告者を「国連の立場を反映するものではない個人」とまで決めつけ、国連総会で選任・委託された「特別報告者」を軽視しました。
 ケナタッチ氏は、共謀罪NO!実行委員会などの市民団体の問いに日本政府への反論文を寄せました。「日本政府が十分な公的議論を経ることなく、愚かにも法案を早急に成立させることを決定した状況において」「私の書簡は完全に適切」であり、政府からの抗議は「指摘した多くの懸念や法案の欠陥について、唯の一つも向き合ったものではない」。立ち止まって、世界基準の民主主義国家の道に歩みをすすめるべき時、とのべています。
 同氏の反論文を公開した市民団体は、日本政府の対応は「国連全体を敵に回しかねない」と危機感を表しました。


「子どもでも捕まった」

治安維持法体験者、西山さんも「反対」
 本紙の風刺マンガ「待合室」筆者の西山進さんは、八九歳のいまも共謀罪法案の抗議行動などに参加しています。治安維持法で捕まった経験があるのです。
 当時は三菱重工造船所(長崎)の一七歳の少年工。上級生に殴られ、食糧不足で腹が減る、「こんな毎日、早く終われ」と願っていました。一九四五年五月、そんな気持ちで替え歌を書きました。「そうして自分を慰めた」と西山さん。歌詞のメモは寮の自室の本に挟んで仕事に出ました。
 二日後、警察から突然の呼び出しが。不安と恐怖で向かい取調室の机に見覚えのあるメモを見つけ、悟りました。会社が特高警察に協力し、抜き打ち私物検査で工員を監視、そこで見つかったのです。
 「戦争をどう思うか」「今の生活が嫌か」と尋問され、隣室からは泣き叫ぶ朝鮮人の声がしました。「お国のために命もささげます」という模範回答を繰り返し、夕方ようやく解放。くやし涙が止まりませんでした。以後も、事あるごとに疑われるようになったといいます。
 「戦争を知らない人が多くなり、この悪法共謀罪もよく理解されていません。この法律は“戦争する国”への道。絶対廃案にしなければ!」(西山さん)。

(民医連新聞 第1645号 2017年6月5日)

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