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2017年7月4日

副作用モニター情報〈481〉 骨粗しょう症治療剤ゾレドロン酸注射液による急性期反応

 ゾレドロン酸(商品名:リクラスト注)は、2016年に発売されたビスホスホネート製剤(BP製剤)で、骨を壊す破骨細胞の働きを抑える骨粗しょう症治療薬です。
 本剤による急性期反応の報告がありました。急性期反応とは、発熱や筋肉痛、インフルエンザ様疾患を指します。BP製剤の場合、骨組織に沈着する前の血中で炎症反応が誘発されて起きます。
症例)70代、女性。発症前日、外来でリクラスト点滴。翌朝、39.2℃の発熱で入院。インフルエンザ迅速検査は陰性。夜、めまいで転倒、嘔吐あり。頭部CT異常なし。発症2日目、38.7℃、めまいあり、嘔気なし、インフルエンザ迅速検査は陰性。3日目、37.9℃、めまいあり。4日目で解熱、めまいなし。5日目までカロナール服用。12日目に退院。

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 ゾレドロン酸注射液は、もともと悪性腫瘍による高カルシウム血症、多発性骨髄腫や各種固形がんの骨転移に処方されていました(商品名:ゾメタ、1回量4mg)。骨粗しょう症には、5mg/100mlを15分以上かけて点滴静注、年1回の用法用量です。1回量が悪性腫瘍より多いのは、海外承認量を導入したためです。
 発熱の発現率は、リクラスト注5mg39.3%、ボンビバ注1mg(月1回投与)0.6%、ボナロン注900μg(4週に1回)0.9%、ボナロン錠35mg(週1回1錠)0.1%未満です。急性期反応の発症が血中濃度に比例すると推測した場合、投与間隔が空くほどリスクも高まると考えられます。
 本剤は年1回製剤ですが、腎機能障害発現有無の確認や低カルシウム血症の検査が必要です。ねたきりや認知症、独居高齢者など通院困難な患者が投与対象とされますが、高熱が出た時に介護者がいなければ重大な事態を招く恐れがありま
す。血中濃度が下がるまで消炎鎮痛剤(NSAIDs)の服用が推奨されますが、併用で腎障害のリスクが指摘されています。
 特に高齢者に投与する場合は、十分な説明と患者・家族の理解が必要です。

(民医連新聞 第1647号 2017年7月3日)

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