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2017年7月4日

安心して住み続けられるまちづくり・埼玉 「介護サービスの担い手に」支部が新総合事業を開始

文・宮武真希(編集部)  写真・野田雅也

ふれあいセンターのサロン活動

ふれあいセンターのサロン活動

 医療生協さいたま草加支部(埼玉県草加市)は今年4月から「ふれあいセンター・新田」を立ち上げて市の新総合事業をスタートしました。
 現在、30人を超える地域住民や組合員がボランティアとして登録しています。

 東京都足立区と隣接する草加市の人口は約24万人。草加支部には3000人の医療生協組合員がいます。
 支部長の浜野幸一さんはおよそ1年前、医療生協さいたま組合員サポート課職員から「新総合事業が始まるので、支部で事業をやってみないか」と、熱のこもった提案を受けました。「支部運営委員会では当時『やれるものならやりたいけれど、新しい事業を始める余裕はないよ』という意見がほとんどだった」と浜野さんは振り返ります。
 その後、運営委員会に市役所の担当職員に来てもらい説明を受けるなど話し合いを繰り返すなかで、準備会を立ち上げることになり、設立の可能性を探りました。

“まちづくり”の視点

 新総合事業は、国の介護保険制度で実施していた「要支援1、2」の介護予防サービスを介護保険制度から外し、各市町村が運営するもの。サービスの中身は各自治体の判断に任されます。
 支部では「国が改悪している介護保険制度の事業に手を上げるということは、改悪に手を貸すことになるのでは」という意見もありましたが、「このままでは要支援の人たちが介護難民になってしまう。なんとかしなくては」と何度も話し合い、学び合いました。
 「事業を始めることにどんな意味があるのだろう?」と話し合うなかで、「困り事を抱えて暮らしている人たちの役に立てるのではないか」「地域の人と人のつながりの中で暮らすまちづくりの視点が大事」と話がすすみました。
 浜野さん自身も、ボランティアだけでサービスを提供できるのだろうかと不安を抱えていました。「そんなとき『医療生協の活動は、これまでも全てボランティアじゃないの』という声を聞いて、『あっ、そうだった』と気付いた」と言います。
 開設に向けて具体的に動きだし、 組合員や地域に呼びかけると、「協力するからね」という賛同の声が広がり、ボランティア登録も増えました。以前カラオケ喫茶だった場所を格安で借りることもできました。
 開設セレモニーには、地元の町会長、市議、社会福祉協議会、地域包括支援センターも参加。現在、市からは毎月の家賃10万円、光熱費は20万円(上限)、初期費用は40万円の補助を受けて、ゴミ出し等の支援を行う「訪問型サービスB」と、体操やレクリエーションを行う「通所型サービスB」(送迎・昼食なし)を運営しています。

経験を生かして

 ボランティアのなかでも、「専門的な視点」として大きな役割を発揮しているのが、保健師で医療生協さいたまの元職員・佐藤優子さんです。
 サロンのメニューは、その日の参加者の健康状態に応じた内容を組み立てます。笑いが出るような風船バレーや自宅でもできるもの、短い時間でできるもの、タオルを使った体操を取り入れるなど多彩です。佐藤さんは「自分のこれまでの経験を地域に役立てたい」と話します。

活動の盛り上がりが源

 開設には、支部活動の盛り上がりも大きな力になりました。
 3年目を迎えたビーズ班の「うたごえとおしゃべりサロン」の活動の広がりがきっかけで、昨年から始まった草加支部合唱団の活動もその1つです。団員は現在30人。月2回の練習が評判を呼び、団員も組合員も増え、さらにはボランティアも増えました。「活動の盛り上がりが、新総合事業を元気に運営する源になっていると感じる」と浜野さん。
 合唱団の指導者で支部運営委員の境敏彦さんは、現在はボランティア責任者を務めています。「サロンを週3回も開設しているのは、市内でここだけ。とにかく、まずは楽しめる場所にしていきたいね」。

いつでも元気 2017.7 No.309

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