MIN-IRENトピックス

2017年9月5日

たくさん学んだ学生たちの夏 2017 通信特集 患者に寄り添う医療者になりたい

 今年も看護学生たちの企画がとりくまれました。学校を離れ、日常では体験できない経験や学びで大きく成長します。学生たちがテーマを決め学習し、同じ目標に向かう仲間と交流を深めました。各地のとりくみを紹介します。

北海道 過疎地のいま、実感できた

 七月二二~二三日、北海道民医連主催でMSフェスタin空知を開催しました。「二〇二五年問題と限界集落を支える地域包括ケア」をメーンテーマ、「北海道の限界集落・過疎」を学習テーマに、高齢化がすすむ空知地方の診療所と患者宅に行きました。学生四二人、職員一〇人、現地職員一四人が参加しました。
 芦別診療所事務長、看護師長から空知地方の歴史、過疎化の現状、地域に根ざす診療所の役割、民医連のめざす地域包括ケアの講演を聞いたあと、フィールドワークで芦別市、歌志内市、上砂川町に暮らす患者宅を訪問しました。
 訪問した患者さんは住み慣れた地域、自宅で生き生きと生活していました。医療や介護サービスなどは都市部に比べると十分に整っていませんが、患者を中心に医療、介護、地域が連携して「その人らしく生活する」を大切に、人と人がつながる地域包括ケアのあるべき姿が実感できました。
 疾患だけを看るのではなく、その人の生活を見据えた看護の重要性を学び、「患者さんの思いに寄り添った看護を実践できるようになりたい」と、学生たちは決意をあらたにしました。

(白井みどり、北海道勤医協・事務)

東北 民医連が大事にする「想い」交流

 八月一一~一二日、青森県弘前市の「アソベの森いわき荘」で看護学生六五人、職員三四人、合計九九人が参加し、「LIFE~遺したい想い~」をテーマに第二八回T6ENCを開催しました。青森民医連で発行した『看護と介護15の物語』から四つの物語を発表。感想や質問を出し合い、発表者が答える形で民医連の看護に触れました。
 学生が感じた「民医連が大事にしている想い」をグループでまとめ、「その人の個性、考え、生活背景を考慮して、チームで連携し患者さんの生き方に向き合って支援している」「人に寄り添い向き合いながらも、技術的な事も提供していると思った」「差別なく平等に接し、患者さんと密に関わることを大切にしている」など報告されました。夕食交流会では伝言ゲームやジェスチャーゲームなどで盛り上がり、交流しました。
 二日目はナースキャップの作成、マスク・エプロン・手袋を装着した状態で消毒リレー、注射液の吸い上げや、応急処置体験、国試問題にチャレンジなどの体験をしました。

(長牛真里、青森保健生協・看護師)

北関東・甲信越 子どもの貧困の背景は?

 八月二〇日、北関東甲信越地協Nurse Egg Festival(NEF)を開催しました。テーマは「今こそ学ぶ子どもの貧困~明るい未来を守る~」。看護学生一一四人を含む総勢一六二人が、さいたまふれあい会館に集結しました。
 未来ある命に焦点をあて、社会情勢から貧困について考え「子ども食堂」や「フードバンク食糧箱詰め作業ボランティア」、「赤ちゃん同窓会」への参加を通じ、当日に向けて県連ごとに学びを深めてきました。
 当日は、「輝く未来に向かって産婦人科で考える貧困問題」と題し、埼玉協同病院の英岡和香子助産師から、未受診妊婦や飛び込み分娩、手遅れ事例の背景には何が隠れているのか、などの話を聞きました。子どもの貧困が及ぼす影響には「学力」や「健康」、「子どもらしく生きられない」などの害があり、貧困の連鎖は自己責任ではなく「SOS」を出せない社会が問題であり、学生として子どもの貧困の現状を知り、自分たちに何ができるのかSGD(スモールグループディスカッション)で深めました。同じ目標に向かう学生が、県連・学年を越え語り、交流する一日となりました。

(北関東・甲信越地協NEF小委員会)

関東 学生が中心となって準備中!

 関東地協は一一月二六日にNurse Egg Festival (NEF)を開催予定。本番会場は海浜幕張にあるホテルグリーンタワー幕張で、一日の企画です。
 本番に向け、七月一五~一六日の第一回実行委員会合宿から準備を始めました。一六人の学生とともに、民医連の医療活動や今の医療情勢をとりまく社会や制度に疑問を感じながら、学生主体でテーマや学びたい内容を決めています。
 第一回実行委員会合宿は、学生同士の交流をメーンに行いました。自己紹介で盛り上がり、夕食交流会で盛り上がり、夜は人狼ゲームで盛り上がり…。二日目のグループワークはみんなで頭をひねり、「何を学びたいのか」「どんな企画にしたら参加学生が得られるモノがあるのか」など熱い論議が繰り広げられました。
 これから残りの実行委員会では、それぞれ担当役割につき、当日の企画組み立てを学生と職員が一致団結してすすめます。
 NEF本番の成功報告を楽しみにしてくださいね♪

 (菅野友彦、千葉民医連・事務)

東海・北陸 差別の歴史学び未来につなぐ

 八月五~六日、東海北陸地協DANSを静岡県御殿場市で開催し、学生五六人、職員四六人、計一〇二人が参加しました。
 テーマは「Another sky ~その先の未来のために~」。御殿場市にあるハンセン病の療養施設、駿河療養所でのフィールドワークと、元患者さんの講演「ハンセン病療養所の未来」や看護師として二八年間勤務した修道女の「ハンセン病の患者さんに寄り添って」、いまも働いている看護師の「ハンセン病の後遺症と看護」の講演を聞いて学び、私たちに何ができるか、グループワーク(オープンカフェ)で話し合いました。
 学生からは、「正しい知識を理解して患者を見つめる事の大切さ、二度と同じ過ちを繰り返さないようにしたい」「過去にあったひどい歴史は『昔のこと』ではなく現在も続いている事を心に収め、広める役割がある」「人権を奪うことは希望を奪うことにつながる。かわいそうというイメージではなく同じ人間で同じ生活ができるようにささえたい」と感想があり、未来へのメッセージを青空に向け発信しました。
 交流会は結婚式場で。「ゼロ円結婚式ファッションショー」を行いました。暑い中での二日間、交流と学びを深め民医連の理念も学びました。

(鈴木記代江、三島共立病院・看護師)

近畿 準備を通してひと回り成長

 八月一〇日、大阪市で第一五回ENSを開催。看護学生八三人、職員三九人、計一二二人が参加しました。テーマは「事例から学ぶ民医連の看護~私たちが大切にしていること~」で、「大交流会」「学習会」「先輩看護師と語ろう会」の三つを企画の中心に、「学習も交流もメインに!!」と欲張り、とても楽しく充実した一日を過ごしました。
 二月から職員事務局会議を立ち上げ、五月には学生を含めた実行委員会を開催し準備をすすめてきました。今回は、一五回目にして初の日帰り企画で、他地協の内容も参考にしてスケジュールを組み立てました。学生実行委員は、「みんなの前で発言することは苦手でしたが、企画準備や本番を通して経験でき自信がついた」「同じ目標を持つ仲間が増えた」「職員の方といろいろ話し、漠然と不安だったことが軽くなった」などの感想で、ひと回り成長した姿がありました。しっかり総括を行い、今後の企画立案・運営にさらに生かしていきたいと思います。

 (阿波角真実子、実行委員会事務局長・奈良民医連事務局)

中国・四国 過去から平和を学ぶ

 第一四回中四地協DANSを八月一七~一八日に高知で開催、一一〇人の看護学生、職員が、「平和の幕開けぜよ~歴史の鏡知りたくない? with KOCHI」をテーマに学習し、交流しました。
 一日目は、「歴史は鏡―過去を学ばざる者は過ちを繰り返す―」と題した学習講演を行いました。高知民医連の元職員で現在は平和資料館草の家副館長の岡村啓佐さんを講師に、事前に各県が選んだ九つの課題(731部隊、原爆投下、ミドリ十字、原発導入などの課題から、各県が一つ選択)について、本番までに調べた学習内容を発表。学生の発表内容に講師が質問をする形式ですすめました。感想交流では「こんな出来事があったなんて知らなかった」「国によって情報が違うのはなぜか」などの声が出ました。
 二日目の大交流会は、担当県が準備したゲームで大盛り上がり!どの県の学生も「他県の学生と交流できて楽しかった」と、熱く濃い二日間となりました。

 (小谷恵未、高知民医連・事務)

※九州・沖縄地協は、台風のため中止となりました。


高校生歯科衛生士体験 山梨

 8月4日に高校生を対象に歯科衛生士体験を山梨民医連歯科4事業所合同で開催し、午前午後で計44人が参加しました。
 参加者は院所見学・歯みがき指導・歯牙模型取りなどを体験。「実際の診療現場を見学でき、患者さんとの距離や緊張感が伝わってきた」「体験しないとわからないことを知ることができ、なりたい気持ちが強くなった」などの感想が出ました。
 この体験も6年目。学校の先生の協力もあり、地域と民医連をつなぐ活動として定着してきました。これからも歯科群一丸となって歯学対とともに活動を発展させていきたいです。(田中聖子、共立歯科センター・歯科衛生士)

(民医連新聞 第1651号 2017年9月4日)

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