くすりの話

2004年11月1日

くすりの話 75 最近のぜん息薬

Q:軽度の慢性ぜん息です。吸入ステロイドを勧められました。ステロイドは怖いのですが。

A:ぜん息の症状が軽症持続性と判断されたとき、まず処方される薬は吸入ステロイド薬です。
 ここ10年ほどの間にぜん息に対する理解が深まり、ぜん息は「気管支が狭くなって呼吸困難がおきる」というこれまでの理解から「結果として気管支が過度 に反応し気管支けいれんを伴った炎症性疾患」と考えられるようになりました。吸入ステロイド薬が早期軽症のうちから使用されて炎症を抑えるようになり、気 管支を一時的に広げるための気管支拡張剤の使用が減っています。
 吸入ステロイド薬を吸うと、薬の1割程度が肺に達して効果を発揮しますが、残りの9割は口腔、咽頭に沈着して副作用の原因となります。口腔・咽頭カンジ ダ症、しわがれ声、咽頭刺激による咳などがありますが、吸入後にはうがいを励行することで予防できます。また一部は腸管、肺などから吸収され全身に移行し ますが、普通に使われる量ならあまり問題になりません。吸入ステロイド薬を長期に使う場合で不安が残るようでしたら、定期的に骨の検査や副腎機能の検査を 受けることで安心して使用することができます。

Q:これまでとは違う吸入薬があると聞きました。

A:ぜん息の吸入療法はエアゾール製剤を中心に広く普及してきました。しかし従来のエアゾール剤にはフロンガスが多く使用されており、それに代わる1つの方 法として「ドライパウダー」の製剤が開発・発売されました。成分自体も従来のものに比べ強力で長時間作用するものが主流となっています。
 ドライパウダー製剤には、吸入ステロイド薬としてフルタイドディスカス®、パルミコートタービュへイラー®、長時間作用型気管支拡張剤としてセレベントロタディスク®があります。

Q:吸い方のコツは?

A:吸入療法は、肺や気管支で薬物の濃度が高まって薬がよく効き、しかも薬物が全身にまわる量が少ないので副作用を最小限に留めることができる方法です。ド ライパウダー製剤は、それぞれ吸入するときの器具の操作が異なっており、使用にあたっては初回に説明をうけ、正しく薬物を吸入できるようにすることが大切 です。
 吸入は、早く深く息を吸いこみ、吸入後は無理のない程度に息を止めると、うまく薬を吸いこむことができます。
 エアゾール製剤に比べて吸入の失敗が少ない特徴がありますが、粉を浮遊させるのに吸い込む力が必要です。吸い込む力が弱い幼児、高齢者、重症の人にはノンフロンのエアゾール製剤のキュバールエアゾール®やフルタイドエアー®といった製品が新たに発売されています。(®は商標名)

いつでも元気 2004.11 No.157

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