MIN-IRENトピックス

2017年11月2日

あなたの支援が子どもを守る

日本国際ボランティアセンター 広報担当
大村真理子

イラクやスーダンなど世界各地で人道支援を行うNGO「日本国際ボランティアセンター」(JVC)。
JVC広報担当の大村真理子さんがパレスチナ・ガザ地区での活動と、活動の資金となる「書き損じハガキの回収運動」について報告します。

 イスラエルとの対立から紛争や軍事占領状態が続いているパレスチナ。宗教や政治が複雑に絡み合い、未だに解決の見通しが立ちません。今年4月、壁とフェンスに囲まれ「天井のない監獄」と呼ばれるパレスチナ・ガザ地区を訪れました。

壁に阻まれる自由

 ガザ地区では2007年以降、イスラエルによって人や物の移動が厳しく制限されています。東京23区の3分の2程度の地区の周囲は、イスラエルの建設した分離壁やフェンスで囲われており、中の住民は基本的に外に出ることができません。
 元々は漁業が盛んだった地域ですが、現在は海もイスラエル海軍によって封鎖されており、6海里(約11km)以上の沖には出られません。空路は01年に空港が破壊されて以来、閉鎖されたまま。繰り返される軍事攻撃や封鎖によって経済は壊滅状態。電気は1日に約2時間しか通っておらず、失業率は世界最悪の42%です。人口200万人のうち、8割の人々が何らかの人道支援を必要としています。
 特に深刻なのが、子どもの栄養失調。5歳以下の子どもの約4割は貧血を抱え、成長不良も数多く見られます。こうした状況の下、JVCは03年からガザ地区で、牛乳の配給や養鶏支援など栄養改善事業を始めました。現在は事業内容を教育支援に変えて続けています。

遠回りに見えても

 今回訪れたガザ地区北部のジャバリヤ市では、現地NGO「AEI」とともに、13年から母子の栄養改善を目的に教育活動も行っています。保健師の資格を持つAEI所属のヘルスワーカーが1軒ずつ家庭訪問。母親と対話し、「子どもの栄養に関する研修」の受講を呼びかけ、希望する母親たちへの研修を続けてきました。
 このような支援は一見、食料配布のような直接的な支援と比べると遠回りに見えるかもしれません。しかし、研修に参加した母親からは、「自分の力で家族の健康を守れるのが何よりも嬉しい」「自分に知識が身に付き、その知識で人の役に立てるのが嬉しい」との声が多く上がっています。
 私が話を聞いたナビーラさんもその1人。「なぜ研修に参加しようと思ったの?」との問いに「家にいるだけでは何も始まらない。少しでも知識をつけて、手に入る食材を有効活用できる方法を知り、次の世代に伝えていきたいと思ったから」と力強く答えてくれました。
 研修を終えた女性たちは、知識を生かして家族の健康を守るだけでなく、ボランティアで地域を回り、その知識を口コミで広げていきます。
 この4年間で、自ら地域を回るようになった女性は30人。彼女らが訪問した家庭は5000軒を超えました。
 教育活動は物資支援ではできない、人々のパワーを最大限に生かす活動なのです。

あなたも共に考えて

 ガザの女性たちは、理不尽に制限された生活の中でも、決してあきらめることがありません。「生活は厳しい。でも、自分たちがポジティブでないと前に進めない」「電気はいつ来るか分からない。ついた瞬間に洗濯機を回すのよ。昨日は寝ている間に電気が来たから、やりたいことが全然できなかった」と笑います。
 「子どもが未来。子どもの人生が一番大切。だから、できることをやりたい」という家族に、どれだけ出会ったでしょうか。
 現地で出会った女性たちに、「私にできることは何?」と幾度となく聞きました。返ってくる答えは大体同じ。
 「ガザで見たこと、感じたことを日本に持ち帰って、伝えてほしい」「この不条理を、一緒に考え立ち向かう仲間が欲しい」。
 日本に暮らす私たちでは想像できない環境下で、今日も暮らす人がいます。彼女たちの笑顔が、優しさが、どれだけの不便や苦しみの上に成り立っているのかを忘れることなく、つながり続けたいと思います。


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 例えば書き損じハガキ20枚で、
 ガザ地区で子どもの栄養失調を防ぐための栄養研修に
 1人の女性が参加できます。

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「いつでも元気」ハガキ担当
TEL:03-3834-2388
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いつでも元気 2017.11 No.313

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