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2017年11月21日

きかせて! どんな「職場づくり」してる? 「地域に出る」「全員参加の学習」を位置づけ、活気が出てきた 神奈川・川崎協同病院医局事務室

 「職場づくり」のページ、今回は取材して! と自己申告のあった神奈川・川崎協同病院医局事務室です。二〇一六年度から職場の年間目標も掲げ、働いてきました。職場内にも仲間意識が芽生えてきて…。国分博子課長と連絡をくれた事務の長谷川貴子さんに聞きました。

 以前は、医局事務室の職責は医局の担当事務管理が担っている状態でした。医局事務室は、医局秘書、研修医担当、医学生担当、文書作成担当など個別の仕事を担っており、お互いの業務内容はよく分からないという状態。職責者は現場の主任課長が行うという方針で体制が変わりました。転機は二〇一五年。心機一転のスタートでした。

年間目標を立てて

 まず個別の仕事を部内で共有。全員で年間目標を決め必ず実践し、結果は振り返ることにしました。例えば二〇一六年度の目標は「地域に出よう」。普段、患者や地域の人と接する機会がないことを意識しました。国分さんは、「地域の人たちと作った病院ですから、原点に返ろうとも思いました」と振り返ります。
 医療生協支部の会議や活動にも、ベテランと若手職員が二人一組で参加することに。「若手を一人で送り出しても、ポツンと座っているだけ…となりかねない。先輩を見て学べるようにしました」と国分さん。
 戦争法廃止を求める署名は、病院の隣の桜本商店街を一軒ずつ回って訴えました。目標の軒数を訪問できたら、署名は一筆も集まらない場合でもOK。「できない」と言える雰囲気づくりも。「生協加入を呼びかける電話かけは苦手だけど、待合での声かけはできる」と、若手職員も自ら動けるようになりました。
 在日朝鮮人が多い桜本商店街では、戦争法廃止の署名をお願いすると、逆にヘイトスピーチに反対する署名を依頼されたり。地域で子ども食堂などにとりくむ人ともつながれました。
 生協支部ニュースの仕分けや配達の一部も担うように。最近では支部会議の議題に「協同病院コーナー」が設けられ、職員が病院の“いま”を紹介。「職員の苦労が分かり、病院が身近になった」と好評です。
 一七年度の目標は「地域の人と一緒に健康づくり」とし、組合員さんが毎年行う「まちかど健康チェック」にも参加。組合員訪問に「一緒に来て」と連絡が入り、同行することもあります。「地域の人たちが頼りにしてくれるようになり、嬉しいです」と長谷川さん。地域の歴史や実情を学ぶ場になっています。

学習にこだわる

 もうひとつは、毎月の部会で学習を位置づけたこと。二時間の会議のうち、一時間を使います。
 学習は二本立て。ひとつは全員持ち回りで「気になるニュース」の紹介。社会保障の問題からAIやカジノなど話題は多彩です。二つ目は年間テーマを決めた継続的な学習。一六年度は「貧困」、今年度は「憲法」をテーマにしました。
 全員が会議の主人公になれるよう一人ひとりの発言を大切に。院内の社保委員を講師に川崎市が子どもの医療費助成制度を無料から定額五〇〇円に改悪したことを学習した時は子育て中の職員が危機感をもち、先頭に立って医療費無料化の署名にとりくみました。
 医局事務室の署名達成率は院内でトップ。戦争法署名では表彰もされました。長谷川さんは、「みんなで知恵を出し合い達成する。弱みもカバーし合える職場です」と胸を張ります。
 国分さんは、「病院の経営問題を話しても『病院がなくなったら自分が困る!』だった職員たちが、『病院がなくなったら地域の人たちが困る!』という発想に変わったのが一番の変化」と話しています。

〈医局事務室の職場づくり〉
 みんなで協力しあい目標を達成する意識
 ほめ合える雰囲気づくり
 強み・弱みをカバーし合える

2017年度 医局事務室方針 (抜粋)
 ○地域の方との共同のとりくみを通して、健康づくりにとりくむ
 ○SDH(健康の社会的決定要因)について理解を深め、社会保障活動や業務実践に活かす
 ○医師の業務支援を通して、医師をささえる存在として役割を発揮する
 ○地域の方の健康と生活を守るための医療機関として、安定した経営のもと医療活動が行えるように、経営的な視点を養う

【職場データ】
(事業所)病院(267床、常勤医34人)
医局事務室
(職員)事務6人(産休中1)
男女比:女5、男1
経験年数:10年以上3人 10年未満3人
年齢層:20代後半~60代
子育て中メンバー:3人


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(民医連新聞 第1656号 2017年11月20日)

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