いつでも元気

2018年1月31日

けんこう教室 
アロマのある生活

京都・医誠会診療所
あん摩マッサージ指圧師/
アロマセラピスト
宮里薫

 アロマセラピーとは、植物に含まれるエッセンシャルオイルを利用する療法。筋肉痛を和らげる、心身のリラックスなどオイル次第でさまざまな効果があります。ただ日本では医療保険は適用されません。
 専門のセラピストが行うマッサージだけでなく、ハンカチなどにオイルをなじませて香りを楽しんだり、スプレーを作って臭い消しにしたり、ご自宅でできるアロマもあります。
オイルはアロマ専門店や雑貨屋などで気軽に購入できます。使い方に気を付け、楽しみながら生活にアロマを取り入れてはいかがでしょうか。

芳香浴

 アロマセラピーはさまざまな手法で楽しむことができます。まずは「芳香浴」から紹介しましょう。
● ティッシュなどを使って
 ティッシュペーパーやハンカチにオイルを1~3滴垂らします。これを机の上や枕元に置いたり、鼻に近付けて香りを楽しみます。屋内だけでなく、外出時にも使えます。
◎おすすめのオイル
ラベンダー:心身のリラックス
ペパーミント:気分がすっきり
● 蒸気を吸い込む
 マグカップや洗面器などに入ったお湯にオイルを数滴垂らし、蒸気を吸い込みます。近付きすぎると、蒸気や香りが刺激になることもあるので注意してください。
◎おすすめのオイル
ローズマリー:集中力を高めたいとき
ユーカリ:鼻づまりやのどが痛いとき

エッセンシャルオイルとは

 植物は動物のように動くことはできません。ですが細菌などから身を守り、虫や鳥を利用して受粉する必要があります。そのため、動物が嫌がる香りや引き寄せる香りを空気中に拡散しています。この香り成分の正体が、アロマといわれるエッセンシャルオイルなのです。

アロマスプレー

 虫除けや臭い消しなど多彩な使い方ができるスプレーは、市販の無水エタノールなどを使って簡単に作れます。
用意するもの 無水エタノール、精製水、エッセンシャルオイル、ガラス製ビーカー、遮光型のガラス製スプレー容器(30ml)
作り方
(1) ビーカーに無水エタノールを5?入れる。
(2) (1)にエッセンシャルオイルを5~10滴垂らす。
(3) (2)に精製水を25?入れてスプレー容器に移す。
注意すること
※火の近くでは使わないでください。
※使用前によく振ってください。
※冷暗所で保管してください。
◎おすすめのオイル
シトロネラ、レモングラス:虫よけに
ペパーミント:キッチン周りやごみ箱に
ベルガモット:気になる臭いのデオドラント

班会でアロマ作り

 乙訓医療生協(京都府向日市)では支部やサークルで、アロマスプレーやアロマクリーム作りをしています。
 夏には虫の嫌がる香りで作った虫よけスプレーが大人気。外出時や家の網戸、玄関などで利用されています。

アロママッサージ

 オイルを使ったマッサージで、深いリラクゼーション効果が得られます。血液循環が良くなり神経系や内分泌系への刺激が高まる、といわれます。腰や膝の痛み、不眠、こむら返りなど症状に合わせてオイルを選びます。当院での施術後は「よく眠れた」「関節が動きやすい」などの感想をいただいています。
 ご自宅でもお気に入りのオイルで、アロママッサージをしてみましょう。
マッサージオイルの作り方
用意するもの 植物オイル(ホホバオイルなどのベースにするオイル)、エッセンシャルオイル、ガラス製遮光瓶、ガラス製ビーカー
作り方
(1) ビーカーに植物オイルを10ml入れる。
(2) (1)にエッセンシャルオイルを2滴入れる。
(3) よくかき混ぜ遮光瓶に入れる。
※冷暗所で保管し、早めに使い切りましょう。
◎おすすめのオイル
ローズマリー:筋肉が疲れているときに
ラベンダー:緊張をほぐす。リラックスに
ローズ:幸福感に浸りたいときに
手のマッサージ
(1) 手を清潔にし、温める。
(2) 10円玉程度のマッサージオイルを手の平に取り、手の中で温める。
(3) 手の平を肌に密着させながら、指先から肘辺りまでゆっくりさすりながら1~2往復。
(4) 手の平を両手で包み込むようにして手の指を1本ずつ丁寧にさする。
※マッサージ後に、べたつきが気になるようなら軽くタオルで拭き取ってください。
※指を揉みほぐすと、頭もすっきりすることがあります。
足のマッサージ
(1) 手を清潔にし、温める。
(2) 10円玉程度のマッサージオイルを手の平に取り、手の中で温める。
(3) 足首を包み込むように持ち、ふくらはぎを意識して膝までを優しくさすりながら5往復。

ちょっと一言 クリームもおすすめ
 無香料の植物性クリームベースにアロマを数滴混ぜると、アロマクリームの出来上がり。オイルより扱いやすいクリームは男女問わず人気があります。

香りはどうやって身体に入るの?

「オレンジの香りを嗅ぐと元気になる」など、香りは身体や心に影響を与えます。どうやって身体の中に入っていくのでしょうか?
(1) 鼻から脳へ
 鼻から入った香りは、鼻の奥にある嗅神経から脳の大脳辺縁系に伝わります。ここは感情や記憶、自律神経やホルモンを司る器官で、身体全体に影響を与えることが知られています。この働きに着目し、アロマを認知症予防などに利用する研究も進められています。
(2) 皮膚から全身に
 アロママッサージなどで、香り成分は皮膚の奥にある血管やリンパ管の中に入っていきます。そこから全身にめぐり、身体中の器官に伝わります。さまざまな影響を与え、最終的に尿や汗から排泄されます。

エッセンシャルオイルの特徴

 植物の香りには種類によって、さまざまな効果があります。
 例えばラベンダーには酢酸リナリルという鎮静・鎮痛作用のある成分が多く含まれており、筋肉痛の緩和などに使われます。刺激が少なくどなたにも扱いやすい香りです。他にも、殺菌効果の高いリモネンや虫の嫌がるシトロネラなど、香りの特徴はさまざまです。
 親しみやすいアロマの香りと作用をにまとめました。香りの特徴を生かしたブレンドをすることで、香りや作用が向上します。


(拡大)

エッセンシャルオイルの注意点

 エッセンシャルオイルは100%天然のものを使用してください。ただし、天然のものでも使い方を間違えるとトラブルになる可能性もあります。次の点に注意しましょう。
● 飲んだり、直接肌につけない。
● 目や口の周り、敏感肌には使用しない。
● 使用期限を守り、酸化したものは使わない。
● 妊娠中や持病がある方は、使用禁止のオイルもあるので必ず医師に相談する。
● 柑橘系のオイルを使用した場合、日光に当たらないよう注意する(炎症を起こす場合があります)。

アロマセラピーのこれから

 アロマセラピーには、心身のバランスを整え自然治癒力を高める働きがあることを、医学的・科学的に評価する動きもあります。これをメディカルアロマセラピーといい、補完療法として医療従事者を中心に研究が続けられています。
 これからも研究・解明されていくアロマセラピー。皆さんも、お気に入りの香りを探して、身体や心の変化を楽しんでみませんか?

いつでも元気 2018.2 No.316

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