民医連新聞

2018年2月6日

フォーカス 私たちの実践 褥瘡を防ぐ 福岡・健和会大手町病院 正確な“ポジショニング”で褥瘡発生6割減

 褥瘡予防には、栄養状態の改善やスキンケアに加え、体にかかる圧を分散し安全で快適な姿勢を保つ「ポジショニング」が重要です。福岡・健和会大手町病院の一二階病棟では、褥瘡発生リスクを軽減するためのポジショニングの知識・意識向上にとりくみ、改善につなげました。同院の看護師、中村広大さんの報告です。

 同院の一二階病棟は五五床の総合診療内科病棟で、高齢者が多く入院します。急性期の症状に伴い、寝返りなどの体位変換が自力でできないうえ、糖尿病や低栄養状態にある患者も多く、褥瘡が発生しやすい病棟です。

■予防意識が低かった!

 まず、褥瘡予防に対する病棟の現状を調べました。体位を変えた時やベッドの背上げ・背下げの際にポジショニングを意識しないと、体の一カ所に圧が集中したり皮膚のずれによって褥瘡の原因になります。背上げ・背下げの際は、ベッドの曲がる位置と患者の体の位置を合わせるリクライニングポイントの確認が必要です。また、皮膚のつっぱり感や圧迫感を取り除いたり、シーツや衣服のしわによる不快感を取り除く「圧抜き」も行わなければなりません。
 しかし、体位変換が必要な患者でリクライニングポイントが一致していたのは四割。圧抜きは、「背部のみ」六割、「していない」三割で、十分に行えていたのは一割でした。病棟の褥瘡発生件数は年間で四回も院内ワースト一位になるなど常に上位で、意識の低さが表れていました。

■正しい知識を身につける

 そこで、リクライニングポイントと圧抜きに重点を置き、看護師二〇人にアンケート調査を実施しました。リクライニングポイントの確認を目視で正しく行っていたのは三割で、「感覚」六・五割、「意識していない」が〇・五割でした。合わせる部位を「大転子部」と正しく答えたのは四割しかおらず、「でん部」四割、「腰部」二割の誤答がありました。
 圧抜きは、患者の体を動かした後は毎回、ベッドに接している部位すべてに対して行わなければなりません。しかし、調査では「背上げ時のみ」と回答したスタッフが多数で、部位では「背部のみ」が多数でした。
 そこで、正しいポジショニングの知識を身につけるため学習会を行い、リクライニングポイントの確認と圧抜きの効果も実体験してもらいました。また、「ベッドのどこに合わせたらいいか確認しづらい」という意見が多かったため、ベッドに反射テープを貼り、夜間でも位置を確認しやすいよう工夫しました。

■学習の効果あり

 学習から二週間後、効果を見るため調査を行いました。結果、約七割の患者のリクライニングポイントが正しい位置にあり、「反射テープがあって確認がしやすい」との声も多数。まだ背部だけのケースもありましたが、圧抜きを意識的に行えているスタッフが増えました。また、褥瘡発生件数を学習会の前後で比較すると、約六割も減少し大きく改善していました()。
 机上の学習会だけでなく、実際にベッド上で体験したことで、ポジショニングに対する意識が向上しました。また、反射テープを使い目視確認しやすくなったことも、向上につながった要素と思われます。圧抜きは今後も浸透させることが必要で、継続して褥瘡予防にとりくまなければなりません。
 移乗や体位変換を行うのは、主に看護師です。褥瘡を予防するためには、看護師の知識や意識の高さがとても重要なことを実感しました。

(民医連新聞 第1661号 2018年2月5日)

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