いつでも元気

2005年4月1日

特集1 私が民医連にいる理由 一人ひとりを大切に 地域にねざした医療を

 民医連の事業所はことしも多くの新入職員を迎えます。「民医連ってどんなところかな」と思っている方に、各地の事業所で生きいきと仕事をしている先輩職員や、共同組織の方のメッセージを紹介します。

どんどん地域にでよう
宮城・坂総合病院医師 藤原大さん(28)
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藤原さん。外来で

 四月に入職四年目になる藤原さんは、記者が訪問したときは古川民主病院での総合研修の最終盤でした。

 「藤原先生は、聞き上手で、患者さんと目線をあわせて話されるので、患者さんの信頼も厚く、とても人気のある先生です。三月には研修を終えて坂総合病院に帰られるので、みんなさびしがってます」と医局事務の早川加代さん。

 外来で、身振り手振り、丁寧に患者さんに説明をしていた藤原さん。小学生の頃から医師になりたいと思っていたといいます。「人の役に立つ仕事がしたいなあ、と漠然と思ってました」とちょっと照れながら…。

 民医連との出会いは大学一年の秋。坂総合病院を見学し、坂総合病院の医師が講師をした学習会に参加したのをきっかけに、共同して学習にとりくみ、その魅力を実感するなかで入職を決意したそうです。

 「民医連のいいところは、地域に根ざした医療。私は地域のなかで医師は育つと思っています。あらゆる分野 と協力、共同して、地域医療のなかで民医連が役割を担うのが大事だと思っています。これからの民医連のありかた、地域医療のありかたを、共同組織の人たち としっかり話し合いながらすすめていけたらと思います」

班会にもできるだけ参加したい

 「在宅の緩和医療について関心があります。在宅医療は、医療と生活を支えるサービスや制度、地域の協力が 必要です。だからまちづくりにも関心があり、班会などにもできるだけ参加したいと思っています。昨年の夏ごろから月一回、友の会の班会に参加して、健康懇 話会の講師などをしました。アレルギーの話や、上手な病院のかかりかたなどの話をしたり、病院がめざしていることなども話しました。みなさん熱心に聞いて くれます。今度友の会の会員さんと、ゆっくり飲みながら話したいですね(笑い)」と。

 「患者さんに接するときに気をつけていることは、話を聞く姿勢。その人がどういう医療要求をもっているか、何で困っているかを少しでも聞き出すようにしています」。こんなおもいが聞き上手といわれる所以でしょう。

人とのつながりを大事に

 研修で多忙ななか、昨年一〇月に開催された、全日本民医連「青年医師交流集会」の副実行委員長を務めました。

 「病院側がきちんと体制をとってくれたので参加できました。全国の青年医師たちと顔をあわせる機会はあまりないので、いい経験になりました。いろいろな立場の人との意見交換や交流をすることは大変刺激になります。多くの青年医師に参加してほしいですね」と。

新入職員へのメッセージ「人とのつながりを大事にしてほしい。積極的にいろいろな人と、じっ くり腰をすえて話したり、スタッフとのコミュニケーションを大事にしてほしい。必ず何か得るものがあるはず。それからなんといっても、病院、職場からどん どん外にでてほしい。地域に。班会でも、学会でもいいから。それは自分の目標でもあります」

いつも新鮮な気持ちで
山梨・共立歯科センター歯科衛生士 保坂由里子さん(29)
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保坂さん

 保坂さんは入職一〇年目。子育て真っ最中のお母さんでもあります。

おもしろいことやってる

 「歯科衛生士になろう、って決めたのは高校二年生のときです。共立歯科センターに入職を決めたのは、専門学校の二年生のとき、ここで開催された夏期ゼミに参加したのがきっかけです。それ以来、職員の方との交流もあったので」

 共立歯科センターの印象は他の歯科とは違ったといいます。

 「診療だけではなく、医療改悪反対の署名活動やデモもしていて、蕫おもしろいことやってるな﨟と思いまし た。それに、制度もきちんとしていたし。患者さん守るには蕫こんなひどい政治をかえなきゃね﨟と、誘われて、入職してすぐ選挙の手伝いをしました。これが 反応がよくて、うれしくて」と屈託なく笑います。

 保坂さんは『いつでも元気』の通信員でもあります。保坂さんが通信してくれた友の会の活動の記事が「生きいき活動あらかると」に何度か掲載されています。

 「山梨民医連の新聞に自分が写った写真が掲載されたことがあって、周りの人からずいぶん声をかけられまし た…。自分でもちょっと気に入っていた写真で、そのときから投稿にはまってしまって。共立歯科だけでも友の会の班がたくさんあって、月に一~二回くらい、 交代で職員が講師として参加しています。これを通信しない手はない、と(笑い)」

悩み話し合える職場

 「この職場のよいところは、悩みを聞いてくれる人がたくさんいるということ。上司にもいるし、同世代に も。一人で悶々としていることがない。いいたいことがいい合える関係がいいな、と思います。一人ひとりを大事にする職場は、民医連の事業所には多いのでは ないかな、と思います」

 保坂さんの目標は?

 「一日をぼんやり過ごさないこと。日々、勉強だな、と思っています。いろんな患者さんがいて、対応は一人 ひとり違います。一〇年やってきても、まだまだ患者さんへの適確な対応は難しいなあ、と感じています。でもそんなことを考えながら、診療室にこもって、診 療だけしていると息が詰まってしまう。そういうときは署名活動など外にでます。根っからこういう活動が好きなのかもしれませんね」

新入職員へのメッセージ「マンネリ化しないで、いつも新鮮な気持ちでいてほしい。そうすると見えてくるものがたくさんあるように思います。それから患者さんの立場にたって、話をきいたり、診療をしてほしい。蕫ちゃんと話を聞いてもらえない﨟と思っている高齢者は多いのではないかと思うのです」

信頼し、成長しあえる関係
医療生協さいたま組合員・常務理事 間仁田一恵さん(61)

 『いつでも元気』の編集委員でもある間仁田さんは、医療生協の組合員歴は三〇年以上になるそうです。「理事も一二年やってます。ちょっと長いかも(笑い)」

 「若いころ、皮膚の病気をもっていたのですが、どの病院に行ってもその病気がどのようなものなのか、きち んと話してもらえなかったのです。不安で、いくつか病院をかえたあと、医療生協の病院にかかりました。そこでは医師が本当にわかりやすく話してくれて蕫安 心してかかれる﨟と思いました。症状だけでなく、生活環境まで問診で丁寧に聞いてくれて、いっしょに治療について考えていこう、と。患者に思いやりがあっ て、うれしかった。すぐに組合員になりました」

 現在、医療生協さいたまは組合員二〇万人。活動も活発です。

 「最近は生協活動も、職員主導ではなく、組合員のかかわりが深くなりました。自分たちが何をするべきか学習しながら、いっしょにやっていこうという姿勢で活動しています。もちろん職員もがんばっていますよ」

活動をとおして自分も変化

 宣伝行動も行事も、組合員と職員が協力して行なっています。

 「SP(模擬患者)研究会」などを作って、職員育成に組合員が一役買うことも。「模擬患者体験を通して、 自分も成長させてもらっています。医師とのかかわりも変わりました。医療者の研修の手伝いをしながら、組合員自身が医療者とのかかわりも勉強させてもらっ ているのです」

 「いま、本当に大切なことが、きちんと情報として流されていないように感じます。私は、自分たちが活動を通して得た知識を、少しでも多くの人に知らせていく役割があると思っています。それをみんなで協力してやっていくことが仲間ふやしにつながります。

 人と協力してやっていく医療生協の活動のなかで、自分自身、変化したことはたくさんあります。下町育ちでポンポンものをいっていましたが、考えてものをいうようになったし。

 組合員が積極的にとりくんでいるまちなみチェックや健康チェックは、さまざまなことを気づかせてくれます。医療生協や民医連の病院があるからこそ地域が変わっていくのがわかります」

民医連、医療生協の原点は

 「医療生協は地域に三~一〇人くらいで班をつくっています。私のいまの目標は班を大事にして、つながりを しっかり作って、班のみんなの要求を実現しながら、地域の中でちょっと困っている人を、助けていけたらと思っています。介護が受けたくても受けられない方 たちの見守りなどの助け合いを、班でできたらいいなあ、と思っています」

新入職員へのメッセージ「一人ひとりを大切に、みんなで協力して、みんなでつくりあげていくことが大事ではないかと思います。それが民医連や医療生協の原点でもあるのでは。そんな自分の職場に自信と誇りを持って働いてほしい」
保健健康づくり委員会で

うれしい気持ちが力に
福岡・米の山病院看護師 江崎徹也さん(25)

 江崎さんはことしで入職三年目。

 「米の山病院に入職したのは妻が以前ここで働いていて、蕫いい病院だから﨟とすすめてくれたから」と少し照れながら話してくれました。

 「それまでは米の山病院のことも、民医連のことも知りませんでした。入職してから少しずつわかってきました」

 「看護師になろうと思ったのは高校生のときです。幼いころ病弱で、長く入院し、看護師さんに遊んでもらっ たことがあって、もしかしたら、そのころからなんとなくあこがれていたのかもしれません。その病院は、職員が患者に対して家族のように接してくれて、とて もあたたかい感じがしたのですが、ここは、そのときの病院に雰囲気が似ているのです。

 ここは患者さんが退院後、外来にこなかったら、訪問したり電話をして、退院後のケアもきちんとします。ほ かの病院なら蕫ほかの病院にかえたのかな﨟ぐらいですませてしまいそうなのに、退院後の患者さんを放っておかないですよね。そこがすごくいいな、って思い ます。ひとつ注文は、建物や設備などの改善をしてほしいということ。こればっかりは自分たちだけではどうしようもないので」

 おだやかでやさしい口調。きっとお年寄りや子どもにも人気があるのでは?

まず声かけをして

 「子どもの反応は素直ですね。白衣を着ていると、私を医療者として見るから蕫痛いことされちゃう﨟と思う のか、ちょっと表情が硬くて。私服でいると、ニコニコとそばに寄ってきてくれます。だから、子どもでも大人でも、患者さんに接するときは、まず声をかけ て、患者さんとの距離を近くすることを心がけています。患者さんを理解して、こちらを理解してもらう。家族が家族にしてあげるように、と」

 「入職一年目は、職場は四〇代以上の先輩たちがほとんどでした。家庭的な雰囲気で蕫育ててもらった﨟と思 います。二年めは異動があって、二〇~三〇代ばかり。話し合いながら、蕫いっしょにやっている﨟という感じです。三年目のことしは新人に教えてあげられる ように、しっかり勉強したいと思います。病院のこと、社会のこと、何を聞かれても答えられるようにしたいですね」

ちょっとした配慮も

 江崎さんは、病院の看学生委員として、「高校生の一日看護体験」などの企画や、研修の企画をたてたり、看護学校に声かけにいったりしています。

 「高校生のボランティアが一カ月に一度、何人か来てくれます。江崎さんをみて、蕫生ナースマンだ﨟と騒いでました(笑い)」と看学生担当の山口房美さん。

 「男性看護師は、今ではかなり増えてきましたが、それでもまだまだ女性の一割程度。先輩はみんな女性で、 私がこの病棟では最初の男性看護師と聞いています。先輩は、男性、女性に関係なく、経験を生かしたアドバイスをしてくれます。ただ、女性の患者さんは、い やがる人もいるかもしれないので、体に触るときは、女性看護師にそっとかわってもらったりしています」と江崎さん。

新入職員へのメッセージ「どんどんいろいろなことにかかわってほしいですね。自分が必要とさ れていることがわかるし、勉強することも見えてくると思います。それから患者さんの立場にたって、患者さんに接してほしい。患者さんの役にたったときのう れしい気持ちが、がんばっていく源になると思います」

文・斉藤千穂記者
写真・五味明憲

いつでも元気 2005.4 No.162

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