声明・見解

2004年11月5日

【声明・アピール2004.11.05】水俣病関西訴訟最高裁判決について

2004年11月05日
全日本民主医療機関連合会
会 長   肥田 泰

 さる10月15日、最高裁判所は、水俣病の被害拡大防止を怠った国と熊本県に対し法的責任を認めた判決を 言い渡した。水俣病の発生から約50年を経て確定した行政の責任の意義は大きく、この判決を闘い取った水俣病関西訴訟関係者の粘り強い取り組みに敬意を表 するものである。

 判決はこれまでの「水俣病認定基準」によって棄却された原告を「水俣病」と判断した。「水俣病認定基準」 は、1985年8月16日の福岡高裁判決(確定)をはじめに、過去の複数の司法判断で厳しく批判された。その後、日本精神神経学会が環境省に認定基準の再 考を申し入れたにもかかわらず、国はこれを放置してきた。

私たち民医連はこれまでに、医療現場で水俣病解明にかかわり、「疫学的条件に加えて四肢末梢性感覚障害があれば水俣病」という病像論を提起した。この病像 が司法判断の骨格になって、1994年12月の政府解決策により、1万人を超える水俣病患者救済につながったことを誇りに持つとともに、国が直ちに次の施 策を取るよう強く求めるものである。

1) 最高裁判決で水俣病とされた原告らについて医療救済など必要な施策を取ること。
2) 今後、新たに救済を求める水俣病被害者が迅速に救済されるようにこれまでの司法判決を前提に必要な仕組みを作ること。
3) 最高裁判決で示された国の責任を重く受け止め、再び水俣病のような惨禍がおこらないように教訓を明らかにし、メチル水銀の長期微量汚染被害を含め必要な調 査と必要な施策をとること。
4) 水俣病のような惨禍が世界で繰り返されないように、地球的規模で必要な施策を取るよう日本政府の責任でWHOなど国際機関へ働きかけること。

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