いつでも元気

2018年2月28日

認知症Q&A 
グループホームの利用

監修 大場敏明医師

 認知症対応型共同生活介護(グループホーム、以下GH)について、「グループホーム福さん家」(東京都墨田区)施設長の岩井善隆さんに解説してもらいました。

 GHとは、認知症の高齢者が住み慣れた地域での共同生活(1ユニット9人)を通し、その人らしい自立した生活を支える地域密着型介護サービスの一つです。
 入居要件は(1)認知症の診断を受けている(2)介護認定(要支援2以上)を受けている(3)施設と同一地域内に住居と住民票があることの3点です。
 GHの特徴は、住み慣れた地域で共同生活を送る、やや多人数の「家」だということ。部屋は個室でプライベートを確保しつつ、利用者同士で食事作りや、余暇を楽しむ共同スペースがあります。職員は24時間常駐し利用者の生活を支えます。一方、医師や看護師が常駐しているGHはほとんどないため、基本的に医療が常時必要な方の利用は想定されていません。

グループホームの選び方

 一軒家やアパートを改装した単独のGHから、診療所や介護事業所に併設されたGHなど形態はさまざま。建物などのハード面だけでなく、そこで働く職員の介護スキルによって生活の雰囲気は大きく異なります。
 入浴、食事、排泄など目に見える身体的ケアと併せて、職員が利用者の心の状態を察し、その人らしい自立した生活を支援できているか、目に見えない心のケアなどが実践できているかどうかが、GHを選ぶうえで最も大切な視点です。
 インターネットを使って検索したり、パンフレットを読んだりすることと併せて、実際に施設を見学することをお勧めします。施設を訪れてみれば、こうした職員の対応が入居者の表情や態度に表れることが少なくありません。それがGHの“空気”になっていることが実感できます。
 見学を通して、生活の様子をはじめ職員の対応(勤務体制に余裕がなく職員が疲れていることも)や、施設内の環境整備の状況などパンフレットでは把握できない実態を確認できます。
 一方、自宅での介護が難しくなってから急に施設を探すと、施設見学を省いたり、1~2カ所の見学で入居を決めることになりかねません。
 利用者同士で趣味の会を開いたり、地域のお祭りに参加したりなど、GHごとに特徴があるため、入居した施設によって利用者の生活に大きな違いが出ることも考えられます。施設選びの際はぎりぎりになってからではなく、少し余裕を持ち対象を広げて見学した方が良いでしょう。

将来の生活を見通す

 看取りまで対応しているGHがある一方で、介護度が上がった際には他施設への転居を契約の条件としているGHもあります。入居前に調べておきましょう。
 どのような状態になるまでGHでの生活を想定するのか、また認知症が重度になっても自立生活を目指した介護を希望するのかなど、あらかじめ家族で考えておくことも重要です。家族だけで方向性を決めるのが不安な場合は、ケアマネジャーに相談し一緒に考えてみましょう。(終わり)

いつでも元気 2018.3 No.317

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