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2018年2月28日

新ほっと介護 
外出を楽しむコツ

全日本民医連介護職委員会委員/神奈川・川崎医療生協 おおしまヘルパーステーション・虹
小森 仁(介護福祉士)

 普段、自宅や施設など限られた場所にいることが多い人にとって、外出は気分転換や季節を肌で感じる良い機会になります。
 楽しく外出するためのポイントを紹介します。

 まず大切なことは、本人が「外出は楽しい」と思えるようにすることです。

ポイント(1)【服装】

 服装は季節に合わせ、寒暖の差に気を付けましょう。服を選ぶことが楽しみの1つになる人もいます。その日の天候や行く場所のことを考えながら服選びを手伝うと、会話も弾むのではないでしょうか。
 車いすを使う場合、体を動かす介助者は暑く感じがちですが、車いすに乗っている人は座っているので、介助者よりも寒く感じます。また夏は、日差しを避けられず日焼けしてしまうこともあります。風や日差しは、膝掛けが1枚あるだけでも防げます。常に携帯していると便利でしょう(図1)。

ポイント(2)【行き先の情報】

 行き先が決定したら、次の点に気を付けて一度下見をしておくと安心です(現地に行けない場合はインターネットなどで下調べ)。
■多目的(多機能)トイレ
■エレベーター
■階段、坂道、砂利道の有無
■食事の際、車いすのまま利用可能か
 杖での歩行や車いすの場合、歩きにくい場所は意外と多く存在します。室内(商業施設など)でも、商品棚などの間隔が十分でなく通路が狭い場合があります。また、トイレも「手すりが付いてない」「車いすは入れない」など、介助に苦労することがあります。
 レストランなどでは、車いすのままテーブルにつける店もあれば、いすに移らなければならない場合もあります。店によっては小さな段差があったり、入り口が狭かったりします。介助する人もされる人も、せっかくの外出が苦痛にならないよう、可能な範囲で行く前に確認しておきましょう。

ポイント(3)【時期】

 普段通い慣れている場所でも、お正月やゴールデンウィークなどの連休期間、公園などは咲いている花によって混雑具合が変わります。また、花火大会や祭りなどが近くで開催されていると、予期せぬ混雑に巻き込まれることもあります。
 介助される人の中には、環境の変化によってパニックを起こしてしまう方もいます。歩行に疲れたときに休憩できる場所や、騒音や人混みなどから離れられる場所があるかどうかも重要なポイントです。
 近所の公園やスーパーであっても、時間帯によって状況は変わります。可能であれば、外出する予定と同じ時間帯に下見を行うことが望ましいでしょう。

ポイント(4)【移動手段】

■電車
 車いすで電車を利用する場合は、改札で駅職員に声を掛け、降車予定駅を伝えましょう。乗車する際に駅職員がホームまで案内してくれます。降車駅でも降車スロープなどの用意をしてくれるので安全に乗り降りできます。
■タクシー
 最近ではユニバーサルデザイン(UD)タクシーも増えてきました(図2)。UDタクシーはステップや手すりが付いていたり、車いすに乗ったまま後部のスロープからの乗降が可能です。介助者にとっても、移乗での転倒リスクが減るなど、外出におけるハードルが低くなります。
 タクシー会社によっては、UDタクシーを使い観光地を巡る外出プランを扱っているところもあります。今はまだ台数は多くありませんが、今後さらに普及することが望まれます。
外出することの良さ
 外出によって、普段過ごしている自宅や施設から離れることは気分転換になります。誰かと会って言葉を交わしたり、服装や身だしなみに気を遣うことで生活の質も高まります。
 積極的な外出ができない方でも、1回10分程度外に出て日を浴びることで、ビタミンDが生成され免疫力を向上させたり、体内時計が整い不眠の解消にも効果があるとされています。暖かさや寒さ、植物の香りや鳥の鳴き声など、四季を肌で感じることは、心の健康にもつながります。

いつでも元気 2018.3 No.317

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