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2018年3月30日

新ほっと介護 
住宅改修と福祉用具

全日本民医連介護職委員会委員/医療生協さいたま・ケアセンターきょうどう所長
山本 千恵

 住み慣れた自宅を住みやすく整えることは、「自立した生活」を支えるためにとても大切です。
 介護保険制度を使うことで住宅改修にかかる費用の支給や、福祉用具のレンタル・販売を利用することができます。

 「ちょっとした段差につまずいて骨折してしまった」という話を聞いたことはありませんか? 住み慣れた自宅で自立した生活を送りたいと思っても、「廊下が滑りやすい」「湯船をまたげない」「トイレで立ち上がるのが大変」など、元気なときには気にならなかった“問題点”に気付くことも…。
 そんなとき、不便な箇所を改修したり福祉用具を使うことで、転倒などのリスクを減らし、住みやすい・介護しやすい環境を整えることができます。食事・更衣・移動・排泄・整容・入浴などの日常生活の動作は、リハビリにもなります。「自分でできることを減らさない」ことは、ご本人と家族にとっても大切です。

【住宅改修】

 手すりの取り付け、段差の解消、洋式便器への取り替えなどの小規模な住宅改修を行ったときに、介護保険を使えば20万円を限度にその費用が支給されます(うち1~2割が自己負担)。限度額に達するまでは、数回に分けて使っても構いません。
 費用が支給される住宅改修は、次のものに限定されています。
1.手すりの取り付け
 廊下、トイレ、浴室、玄関、玄関から通路など
2.段差の解消
 敷居を低くする、スロープを付ける、浴室の床のかさ上げなど
3.床材の変更
 滑り防止や移動の円滑化など
4.扉の取り替え
 開き戸を引き戸やアコーディオンカーテンに取り替えて、開閉しやすくする
5.便器の取り替え
 和式便器を洋式便器に取り替える(水洗化などの工事は対象外)

【福祉用具貸与】

 介護保険で福祉用具を貸し出すサービスです。対象となる用具はの通りです(介護度に応じた支給限度額の範囲内で利用料の1割が自己負担)。
表のうち1~611、12は原則、要介護2~5の方が利用でき、要支援1・2、要介護1の方は利用できません。しかし、例外的に利用が認められる場合もありますので、お近くの地域包括支援センターや居宅介護支援事業所でご相談ください。

【福祉用具購入】

 腰掛け便座や入浴用いすの体に当たる部分など、再利用することに心理的抵抗感が伴うものや、使用により変形・劣化するものは購入となります。介護保険で購入費が年間10万円(1~2割が自己負担)まで支給されます。要支援1~要介護5と認定された方が対象です。
購入の対象品
 (1)腰掛け便座(2)自動排泄処理装置の交換可能部品(3)入浴補助用具(入浴用いすや浴室用すのこなど)(4)簡易浴槽(5)移動用リフトのつり具の部分
指定を受けた事業者から購入した場合に限り保険給付の対象となります

 住宅改修と福祉用具を上手に組み合わせて住宅環境が改善されれば、転倒などのリスクを未然に防ぐだけでなく、日常の生活動作が楽になり、自分でできることが増えていきます。また介護をしやすい環境にすることで、ご家族や介護者の心身の負担を軽減することもできます。
 自宅でどのように暮らしたいか、どんなことが困難かを明らかにし、望む生活のイメージを明確に持つことが大切です。分からないことや不安な点はケアマネジャーにご相談ください。
(新ほっと介護は今号でいったん休載します)

いつでも元気 2018.4 No.318

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