医療・看護

2018年4月17日

きかせて! どんな「職場づくり」してる? 鹿児島生協病院

他職種に声をかけやすくなった―若手医師が始めた「ケア・カフェ」

 職場づくりのページ、今回は、鹿児島生協病院の「ケア・カフェ」について。多職種連携の強化を目的に一年半以上続けており、参加者からは「働きやすくなった」との声もあがっています。仕掛け人・平野慎一郎医師に聞きました。

 鹿児島生協病院では、救急車の年間受け入れは二五〇〇~三〇〇〇件、高齢者の受け入れが目立ちます。九〇代の外科手術も当たり前で、必ず出てきてしまうのが認知症の悪化やその結果としての嚥下障害や廃用症候群。平野さんは、外科の後期研修医としてそれらを実感し、急速な高齢化と患者背景の複雑化の中で持ち上がる課題を克服するために、多職種による職場の連携の強化が必要に迫られていると感じていました。
 そこで、二〇一六年六月、他職種の若手スタッフらとともに「ケア・カフェ」を立ち上げました。

■顔の見える関係づくり

 「ケア・カフェ」は、二〇一二年、阿部泰之医師(旭川医科大学病院緩和ケア診療部)が立ち上げた「ケア・カフェ旭川」に始まり、全国に広がっています。
 ジャズやヒップホップなどの音楽が流れるなか、コーヒー片手にお菓子を食べながらちょっと真面目な話を。会議室のように堅苦しくなく、居酒屋のように砕けすぎず、適度に打ち解けられる雰囲気をめざします。同院のケア・カフェもそのスタイルを踏襲し、顔の見える関係づくりと日頃のケアの相談場所として一年半以上継続しています。

■ケア・カフェの流れ

 まず、プレゼンターを決めます。そして事前に二回ほど、他のメンバーを交えた数人で、本人の想いを聞く時間をつくるようにしているといいます。何を話したいか、他職種にどんなことを聞きたいか、どんな医療をしたいのかなどです。
 本番では、プレゼンターが話題を提供します。その後参加者は、自己紹介、アイスブレイクに続き、ワールドカフェ方式(Chat1~Chat3)で話をします。
 Chat1では三〇~四〇分、テーブルごとにテーマについて自由に話し合います。Chat2ではテーブルホストを一~二人残し、他のメンバーは他テーブルへ移り、そのテーブルの話題を共有。そこで深めた内容をChat3で自分のテーブルに持ち帰りまとめます。最後に全体で共有します。
 マナーもあります。参加者全員が意見を出すこと、互いを尊重し考えを認めること、時間を守ること。

■連携強化のよいツール

 第一回、第二回は平野さんがプレゼンターを務めました。以降、プレゼンターは職種ごとに持ち回りで指名。これまでに八回開催しました()。
 平野さんは、継続の秘訣について「できるだけ簡単な準備で開催できるようにすること。プレゼンターの負担にならないよう、開催間隔も二カ月ほどあけています」と話します。
 同院の「ケア・カフェ」では毎回アンケートをとります。第四回開催後、「ケア・カフェに参加するようになって、何か変化がありましたか」と質問すると、「他の職種と話すことで視野が広がった」「多職種連携の重要性を感じている」「他職種の立場を考えるようになった」などの回答が。最近のアンケートでも、「他職種の仕事を知ることで働きやすくなり、声をかけやすくなった」との声が寄せられています。
 「講演会形式は、得られる知識が講師の持つ情報や考え方に限られ、ごく一部しか頭に残らないことも。ケア・カフェでは、多くの情報や様ざまな職員の考えを知ることができます。どんなことでも聞きやすい雰囲気があり、誰もが発信者。〝今〟困っていることの解決にもつながります」と平野さん。多職種連携強化のよいツールになるとともに、成人教育にも有効と実感しています。

【職場データ】

(事業所)病院
(306床、職員550人ほど)

ケア・カフェ参加者
平均人数:15~23人
男女比:男1、女2
経験年数:1年目~40年のベテランまで
年齢層:20代~60代
(20~30代が中心)


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(民医連新聞 第1666号 2018年4月16日)

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