いつでも元気

2005年7月1日

みんなでつくった!地域の保育所 子育て支援の拠点に あかね保育園

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オープンしたばかりの「あかね保育園」保育室で

 五月にオープンした「あかね保育園」。敷地も広く、室内の床はすべてひのきの板張りで、テーブルやイスなどは木製。保育室のほかに広い遊戯室もあります。
 「子どもたちの触れるものは、ぬくもりのある優しい環境をと、予算をかけました」と浅野嘉代子園長はいいます。
 あかね保育園は、奈良市にある医療法人平和会・吉田病院の院内保育所の保護者や、社会福祉法人秋篠茜会の職員を中心とした「秋篠新町にみんなの認可保育 所をつくる会」の運動が実ったものです。

このままで大丈夫?

 平和会では、一九七四年に院内保育所「あゆみ保育園」を開設。七六年には夜間・泊まり保育や病児保育も開始しました。園児だけでなく卒園児や地域の児童 も顔を出す、地域の子どもの「たまり場」にもなっていました。
 ところが二〇〇一年ごろから、相次ぐ医療改悪により、法人の経営状況が厳しくなり、保護者のなかから「このままでは院内保育所の保育体制を充実させるこ とが難しいのではないか」という懸念の声があがりました。また、県の道路建設計画地の中に保育所の敷地が含まれていて、立ち退きを迫られていることもあ り、保育所のありかたについて保護者会で検討をはじめました。
 保護者会では講師を招き、保育情勢の学習会をしたり、「子どもにとって何がよいか」などの議論を重ねました。地域には入所待機児もいること、現在ある認 可保育園では補助金削減によって、つめこみ保育が悪化しているという実態も…。議論の末、保護者会は〇二年一二月に法人理事会に「認可保育所への移行」の 要望書を提出しました。
 〇三年になって、奈良市から特養ホーム「こがねの里」を運営している秋篠茜会に保育所運営の打診があり、秋篠茜会から、隣接する平和会に認可保育所づく りについての協力要請がありました。協議のうえ、認可保育所づくりにとりくむことを合意、保護者たちといっしょになって保育所づくりの運動がはじまりまし た。

一体となって保育所づくり

 〇四年二月に「つくる会の準備会」を立ち上げ、人形劇を開催し、参加者に保育に関するアンケートに応えてもらうなど、地域にむけた企画にとりくみまし た。四月には「つくる会」を結成し、建設のための募金運動も。
 「蕫募金活動なんてはじめて﨟という人も参加して、こどもまつりを企画したり、ひなまつりや節分などの季節行事で募金を訴えました」と保護者の柴田なおさん。
 「平和会健康友の会も会員に募金への協力を訴えてくれました。つくる会から職員に募金を呼びかけたり。まさに法人、職員、友の会が一体になって保育所づ くりにとりくみました」と「つくる会」の事務局長の亀本和也さん。保護者で、平和会の事務局次長でもあります。

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院内保育所、あゆみ保育園のお別れ会で(05年4月)

赤ちゃんからお年寄りまで

 「奈良では子どもの悲しい事件などもあり、親たちは不安で、”子育てしにくい環境”と感じています。子ど もへの熱い思いから、学び、気づき、要求が生まれ、それが運動へと発展していきました。今後は、地域向けに子育て学習会なども予定しています。子どもが安 心して育てられるまちは、同時に安心して住み続けられるまちだと思います。赤ちゃんからお年寄りまで安心してくらせるまちづくりをめざしたいですね。
 あかね保育園は地域の子育て支援の拠点、そして、奈良市の保育運動の拠点づくりへと発展させたい」と亀本さん。
文・斉藤千穂記者/写真・若橋一三

いつでも元気 2005.7 No.165

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