副作用モニター情報(薬・医薬品の情報)

2018年5月22日

副作用モニター情報〈495〉 フラジール(メトロニダゾール)内服薬による意識低下

 フラジール(メトロニダゾール)内服薬による副作用は、直近3年間で16件が当副作用モニターに報告されています。発疹、掻痒感などの過敏症状(9件)と下痢、嘔気などの消化器症状(5件)が多く、いずれも軽微な副作用ですが、興奮・錯乱、気分が滅入るなどの精神・神経症状の報告もあり、今回は「意識レベルの低下」が報告されました。
症例)70歳代後半、女性。抗生物質による肺炎治療(7日間)終了後、4日目にCDトキシン陽性、CD抗原陽性。フラジール750mg/分3で治療開始。
 治療3日目:食事摂取量低下、呼びかけにも呼応しない状態が継続。
 治療5日目:副作用を疑い中止。バンコマイシン散へ変更。
 フラジール中止5日目:声かけへの返答・反応良好。食事摂取量も改善。

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 メトロニダゾールは血液脳関門を容易に通り抜ける薬剤です。
 中枢神経系に関連する症状は主として高用量の時にみられ、特に高用量を長期間用いた場合に多く、悪心、嘔吐、頭痛やめまい、運動失調、錯乱から神経炎までさまざまな有害作用が起こることがあります。今回は標準用量での出現であり、投与時の観察強化が求められます。
 ヘリコバクター・ピロリ菌の2次除菌目的での使用が増えており(報告された16件中10件)、入院中と違い、観察が容易にできない環境での使用が多い薬剤でもあります。ワーファリンやフェニトインなど薬物相互作用への注意のほか、治療中にアルコールを摂取すると、ジスルフィラム様作用(アセトアルデヒド蓄積による二日酔い・悪酔い症状)を高い確率で引き起こすため、患者への警告も必要です。

(民医連新聞 第1668号 2018年5月21日)

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