声明・見解

2004年12月10日

【声明2004.12.10】国民皆保険制度を解体させる混合診療解禁に反対し、患者負担増と皆保険制度の形骸化を進める特定療養費制度の拡大に反対する要望書

2004年12月10日
小泉純一郎 内閣総理大臣殿
尾辻 秀久 厚生労働大臣殿

 

国民皆保険制度を解体させる混合診療解禁に反対し、患者負担増と皆保険制度の形骸化を進める特定療養費制度の拡大に反対する要望書

全日本民主医療機関連合会
会長  肥田 泰

 現在、構造改革の推進を主張する政府関係者や財界などから、強力に混合診療解禁の要求が出されている。し かし、多くの国民が混合診療の解禁に反対し、日本医師会や日本薬剤師会はじめ医療関係団体も解禁反対で運動を行っている。私たちは、こうした医療団体の運 動を支持し、混合診療反対の立場を明らかにし、運動を進めている。しかも、先の臨時国会において全会派一致で「混合診療解禁反対、国民皆保険制度を守る決 議」が採択された。

 しかし、財界や規制改革・民間開放推進会議などでは、「解禁の方向で年内に結論を出す」との小泉首相の国会発言をテコに、混合診療解禁へ向けた動きを強めている。

 混合診療の解禁は、患者には多大な負担増、財界には数兆円から十数兆円もの市場の拡大をもたらすものであ る。そして、公的保険の縮小、医療の営利化に突き進み、日本の国民皆保険制度を解体させ、日本の医療保険制度を「公私2階建て医療」にするものである。私 たちは、あらためて混合診療解禁に強く反対を表明する。

 同時に、混合診療の全面解禁の要求と動きに対して厚労省は、「特定療養費の拡大」で対応しようとしてい る。特定療養費制度とは、混合診療の禁止を定めた医療制度の中に、国の公認による「部分的な混合診療」を認めるものである。現在、高度医療分野と患者の選 択による選定療養の13項目が特定療養費となっている。

 厚労省では、一定のルール・水準に基づいた形で特定療養費を拡大する方向であり、財政審への厚労相提案では「現行制度のほかに新たに保険診療と保険外診療との併用が認められる領域を拡大する」とし、2006年の医療保険制度改革で整備する考えである。

 拡大の方向として、(1)未承認薬の保険外負担、(2)中・低度の医療技術で保険未収載技術の特定療養費 適用、(3)回数制限された検査や治療法の特定療養費化、(4)医療本体部分への特定療養費拡大(入院給食など)、(5)看護師などの手厚い看護体制部分 の患者負担化、などが検討されている。

 しかし、特定療養費制度自体、「限定された混合診療」であり、この特定療養費の枠組みの拡大は、混合診療 の「ドアを半分開くもの」にほかならない。特定療養費の拡大は、患者負担を増やしながら、国民皆保険の形骸化を一層進め、公私2階建て医療の前段階ともい えるものである。

 わたしたちは、国民のいのちと健康に責任を持ち、安心してかかれる安全な医療をめざす医療機関として、以下の要望を提出するものである。

 1,混合診療を解禁しないこと
 1,混合診療解禁につながる特定療養費の拡大を行わないこと
 1,医療本体部分への特定療養費の拡大をやめ、長期入院時の特定療養費をやめること
 1,いつでもどこでも誰もが必要な医療が受けられる国民皆保険制度を守ること
   の4項目を強く要望する。

以上

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