民医連新聞

2018年7月3日

「総がかり」で守ろう いのちとくらし 大間原発訴訟の会 代表 竹田とし子さん 唯一の被爆国日本に 核兵器から生まれた 原発はいらない

 総がかりでいのちと暮らしを守ろう―。今回は、青森県大間町で建設中の大間原発に反対し、建設差し止めなどを求め裁判をたたかっている、北海道函館市の市民団体「大間原発訴訟の会」代表の竹田とし子さんです。(丸山いぶき記者)

 きっかけは、大間町の建設予定地で一人になっても土地買収に応じず反対した熊谷あさ子さんへの弁護士紹介でした。二〇〇六年に亡くなった熊谷さんの遺志を引き継ぎ二〇一〇年に提訴。国と電源開発(株)に対し、大間原発の建設差し止めと、精神的苦痛に対する損害賠償を求めています。
 大間原発は世界でも類を見ない原発計画です。海底活断層の活動によるマグニチュード7・5クラスの地震や、火山活動の可能性も指摘される立地に、使用済み核燃料を再処理して抽出したプルトニウムとウランの混合酸化物(MOX)燃料を使用する、危険なプルサーマル方式を採用。
 さらに、通常部分的にのみ使うMOX燃料を、全炉心に使う〝フルMOX〟が目的の世界初の原発です。

■司法は役割果たせ

 三月一九日、ついに判決が出ました。裁判長の第一声「原告らの請求をいずれも棄却する―」に、私は声も出ませんでした。原子力規制委員会による審査中であることなどを理由に、現時点で「重大な事故が発生する具体的危険性があると認めることは困難」と、大間原発そのものの危険性判断を回避した判決。福島を経験してまだこんなことを!? と怒りを覚えます。
 第二回口頭弁論前に行われた、裁判所と原告、被告双方の弁護士による進行協議のまさにその時、私たちは東日本大震災に遭遇しました。しかしその後、原発事故の恐怖をともに経験したその裁判長を含め、裁判長は三度交代。私たちが八年間訴えてきた声は、全く届きませんでした。

■根本には国の政策が

 大間原発は、もともと国が半分以上出資した電源開発(株)が建設しています。「高速増殖炉もんじゅ」の廃炉を決定した国ですが〝核燃料サイクル〟は放棄していません。青森県六ヶ所村の再処理工場は維持され、国内外に四七㌧超のプルトニウムをため込んでいます。電力会社も寝かせているだけで費用がかかる原発の再稼働を急いでいます。根本にあるのは原発に固執する国の方針です。
 原発はこれまで選挙で争点化されず、地域や被ばく医療などごく一部の問題にされてきました。しかし、原発がいのちと暮らし、子どもたちの未来を奪う大問題であり、立地自治体だけ、今だけの問題ではないことは、東京電力福島第一原発事故ではっきりしました。
 「安い・安全・クリーン」も全部ウソ。福島の事故の収束はいつになるかわかりません。もとは核兵器開発技術から生まれた原発。高温の汚染排水は海に垂れ流され続けています。
 世界で唯一の被爆国日本で原発を存在させてきたことがおかしいのです。そんな国の政策を許してきたことが、私は悔しい。だから訴え続けます。

* * *

 「やっぱり原発はいらない」という人は確実に増えています。提訴時一六八人だった原告は、震災を機に増え結審時一一六三人に。民医連の医師も原告として「医療に携わり病気を治そうとしているのに、病気をつくり出す原発はいらない」と意見陳述しました。
 医療機関には、福島からの避難者の甲状腺がん検査データをしっかり残してほしいと思います。「心配な時はいつでも来て」という体制が、福島だけでなく全国で必要です。
 二〇一一年当時、大間原発が動いていなくて本当によかったと思います。熊谷さんが反対していてくれたおかげ。私たちは札幌高等裁判所に控訴しています。不当判決には屈しません。

(民医連新聞 第1671号 2018年7月2日)

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