声明・見解

2004年12月17日

【声明2004.12.17】混合診療の部分解禁である「特定療養費制度の制約なき拡大」に反対する

小泉純一郎 内閣総理大臣殿
尾辻 秀久 厚生労働大臣殿

2004年12月17日
全日本民主医療機関連合会
会長   肥田  泰

混合診療の部分解禁である「特定療養費制度の制約なき拡大」に反対する

 現在、構造改革の推進を主張する政府関係者や財界などから、強力に混合診療解禁の要求が出されている。し かし、多くの国民が混合診療の解禁に反対し、日本医師会や日本薬剤師会はじめ医療関係団体も解禁反対で運動を行っている。私たちは、こうした医療団体の運 動を支持し、混合診療反対の立場を明らかにし、運動を進めてきた。その結果、先の臨時国会において全会派一致で「混合診療解禁反対、国民皆保険制度を守る 決議」が採択された。

12月15日、厚労省大臣と規制改革大臣との間で、一部診療に限り「例外」として実質、混合診療を容認し、これを2004年度から部分的に実施する合意さ れた、と報道された。さらに2006年医療制度改革の中で健康保険法を改定して特定療養費制度を「保険導入検討医療(仮称)」と「患者選択同意医療(仮 称)」に再編成するなど新たな枠組みを作るとしている。

 拡大の方向として、(1)未承認薬の保険外負担、(2)中・低度の医療技術で保険未収載技術の特定療養費適用、(3)回数制限された検査や治療法の特定 療養費化、(4)医療本体部分への特定療養費拡大(入院給食など)、(5)看護師などの手厚い看護体制部分の患者負担化などが検討されていると伝えられて いる。

しかし、これらの検討項目の殆どは、そもそも、速やかに保険適用されるべき項目である。未承認薬は、安全性が確認されたら速やかに保険適用すること、中・ 低度の保険適用外の医療技術や治療法も、保険適用することで、解決できるものである。

 また、医療本体への特定療養費拡大は、すでに180日を超えた以後の入院料に適応されているが、実際には診療報酬が病院には大きく減額され、その分患者 負担となる等、極めて批判が多い。これを通常の医療行為や入院給食や看護体制などへ拡大することは、特定療養費の制約なき拡大であり、全く同意できない。

また一方で、日本で保険収載されてない薬品や医療材料の中には、安全性も確認されたにもかかわらず、企業の利益確保のために承認を遅らせたり、保険医療費 が膨らむのを抑えるために保険適用をしてないものがある。これらも、行政は速やかに新技術の保険収載申請を進めるよう、指導すべきである。「保険でよい医 療を」は国民の願いである。

 今回の合意は、財界主導の規制改革会議などが強く求めた混合診療全面解禁とはならなかったものの、「特定療養費の制約なき拡大」であり、混合診療全面解 禁に「ドアを半分開くもの」である。それはまた、日本医師会はじめ多くの医療団体と国民がとりくんだ600万筆に込められた要求に応えるものではない。

 わたしたちは、国民のいのちと健康に責任を持ち、安心してかかれる安全な医療をめざす医療機関として、以下の要求をするものである。

 一、混合診療を解禁しないこと
 一、安全性が確認され、一定の基準を満たした医薬品、医療材料、医療行為は、速やかに保険適用を行うこと
 一、医療本体部分への特定療養費の制約なき拡大をやめ、現行の長期入院時の特定療養費を止めること
 一、「保険でよい医療」の願いに応え、いつでもどこでも誰もが必要な医療が受けられる国民皆保険制度を一層充実すること

以上

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