MIN-IRENトピックス

2018年8月7日

国際HPHカンファレンス inイタリア・ボローニャ ヘルスプロモーションで世界と響き合う

 六月四~一一日、民医連の医師、看護師、薬剤師、理学療法士などが、イタリア・ボローニャで開催された第二六回国際HPHカンファレンスに参加しました。J―HPH代表団の団長で全日本民医連理事の尾形和泰医師の報告です。

 第二六回国際HPHカンファレンスが六月上旬、イタリアのボローニャで開催され、J―HPHからは一〇事業所などから二二人が参加しました。
 六月四日、フランクフルト経由で約二〇時間かけて夜中にボローニャに到着。翌五日、参加者の多くはバスで九〇kmほど離れたフィレンツェを観光しました。
 六日は国際カンファレンス主催でボローニャ市内観光があり、古いボローニャ大学の解剖教室や修道院の建物を使った有名なリツォーリ整形外科研究所などを見学し、夕方から開会式がありました(私は朝から年次総会に出席して英語に悪戦苦闘)。

■各国のHPH活動を学ぶ

 今回のテーマは「保健医療を転換するためのヘルスプロモーション戦略‥エビデンスに基づいた政策と実践」で、HPH実践のガバナンス、住民中心の包括的医療サービス(IPCHS)との関係、非感染性疾患(NCD)管理、利用者参加・地域との協働、プライマリケアにおける予防医療などが、各全体会のテーマとなりました。三六カ国から約七〇〇人が参加し、その三分の一は、政府が主導してHPHにとりくむ台湾からの参加者で、地元イタリアを上回る人数でした。
 開会式に引き続いて全体会(1)があり、WHO欧州事務局やカナダの研究者らの講演がありました。イタリアのWHO関係者は、ヘルスチームのリーダーの資質として、社会正義への連帯、チーム作業、変革への貪欲さ、アウトカムに焦点を当てたマネジメントなどを挙げていました。ウエルカムレセプション後は、ハンヌ・ターネセンさん(国際HPHネットワークCEO)とトール・ジェンセンさん(同事務局)を囲んで恒例の懇親会がありました。
 国際カンファレンス二日目(七日)は朝から全体会(2)(おもにIPCHSについての討論)、オーラルセッション、ミニオーラルセッション、ポスターセッション、全体会(3)(非感染性疾患の管理とHPH)と続きました。日本からはポスターは六演題、オーラルセッションで二演題、ミニオーラルセッションで一演題の発表がありました。

■論文とポスターで受賞

 休憩時間や昼食では、フルーツやイタリア料理などがふるまわれ、過去の国際カンファレンスよりも食事の質はかなり高かったようです。夜はカンファレンスディナーがあり、プロのバンド演奏に合わせて、参加者がステージ前のフロアでダンスをするという楽しい夜になりました。また、ディナーでは広島共立病院の黄道勇医師が、HPHのジャーナルに投稿した日本人の食習慣のアンケート調査に関する論文で、最優秀論文賞の表彰を受けました。
 国際カンファレンス三日目(八日)は、全体会(4)(ユーザー参加とコミュニティーの関与=共同のいとなみ)、オーラルセッション、ポスターセッション、ワークショップ、全体会(5)(プライマリヘルスケアにおける予防の強化)が続き、日本からはポスター七演題の発表があり、東京保健生協事務局の古川和代さんの演題「幸福・健康感覚尺度(2HFS)を用いた高齢者の主観的健康感と健康行動との関連」がグリーンリボン賞を受賞しました。
 閉会式では、次回の国際HPHカンファレンスは二〇一九年五月末にポーランドのワルシャワで開催されることが発表されました。

* * *

 閉会式後は、日本からの参加者でコースディナーを食べながら感想や今後の活動などについて交流しました。
 最終日は午後にボローニャからフランクフルトに向かう予定でしたが、天候の関係で出発が数時間遅れ、フランクフルトからの乗り継ぎ便に間に合わず、空港近くのホテルに一泊して一日遅れの月曜朝に帰国しました。午前中に札幌まで帰り着いた私は、そのまま外来診療に入りました。

(民医連新聞 第1673号 2018年8月6日)

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