医療・看護

2018年8月27日

【声明2018.08.25】東京医科大学の不正入試問題に関連して

2018年8月25日
全日本民主医療機関連合会
会長 藤末 衛

 東京医科大学(東京都新宿区)の入試において、女性や多浪生を全合格者の3割程度に抑える目的で、受験者の得点を一律に減点する等の得点操作が10年以上にわたって行われていたことが、平成30年8月6日に公表された東京医科大学内部調査委員会報告で明らかにされました。
 このことは、明らかに入試における女性差別であり、法の下の平等を定めた憲法第14条に反します。また、全ての人がその能力に応じてひとしく教育を受ける権利があることを定めた第26条違反です。大学入試における公平性が著しく損なわれており、その公平性を信じて入試に臨んだ多くの受験生の人生を変え、医学・医療で人びとに貢献したいという受験生の良心を踏みにじる行為でもあり、到底許されるものではありません。
 今回東京医科大学において明らかになったような入試差別がそのほかの大学でなかったかどうか、政府・文部科学省の責任において、すべての大学について点検され、問題があれば明らかにし、即時是正することを求めます。

 こうしたことが東京医大において長年続いてきた背景に、深刻な医師労働の実態があることは明らかです。勤務医の深刻な医師労働が続く根本的な原因は、診療科や地域による偏在にとどまらない医師数の絶対的な不足であり、その解決としての医師増員にむけた社会的・政策的合意は不可欠です。国はこの間、一定の政策変更として医学部の定員増を行ってきましたが、第一線の現場で医師労働のあり方がほとんど変わっていないにも関わらず、定員減に舵を切ろうとしています。国や厚生労働省が「医師の働き方改革」を言うのなら、根本原因としての深刻な医師不足を認め、医師増員の立場にあらためて立つべきです。
 また、妊娠・出産でキャリアを中断する可能性のある女性医師が活躍できるような労働環境を整え、女性医師を増やすことは、ダイバーシティを推進し、すべての医師が働きやすい環境を作ることでもあることを政府・厚生労働省はあらためて認識すべきです。

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