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2018年9月4日

「2つの柱」の好循環を 多職種共同・地域連携で築く 第43期 第1回評議員会開く

 全日本民医連は八月一八~一九日、東京都内で第四三期第一回評議員会を開きました。第四三回総会から半年間の各地の活動報告、医師養成についての提起や議論、民医連綱領学習ハンドブックの作成について、二〇一八年度上半期決算の提案、会計監査報告を議論し、方針ほかの議案を決定しました。評議員八四人(予備含む)と理事など一六八人が参加。一日目の夜は、韓国社会的医療機関連合会の共同代表のイム・ジョンハン医師と韓国・グリーン病院のイ・ボラ医師が講演しました。(代田夏未記者)

 冒頭、藤末衛会長があいさつ。医師のおかれている現状を把握し、医師集団が多職種とともに医療活動に励み、すべての世代の医師がその姿に共感して参加できるように、民医連として議論を呼びかけました。
 旧優生保護法にもふれました。今年一月、優生学的理由による強制不妊手術の実態が明らかになりました。藤末会長は「人権の視点から議論できる時があったにもかかわらず、問題意識を持てなかった理由を振り返り、今後に生かさなければならない」と指摘しました。
 岸本啓介事務局長が理事会報告。第四三回総会から半年が経ち、総会方針学習月間は七月末で五万五五五人、職責者の読了が五七・三%になりました。全国的なとりくみは終了しますが、多くの県連が継続的なとりくみの具体化をすすめています。
 かつてない被害を引き起こした西日本豪雨災害は一一府県にわたり大規模な災害が同時に発生しました。全国の民医連からの粘り強い支援が続いています。引き続き全国の力を集めて、復興へ向け力を尽くすことを確認しました。
 総会方針で四三期最大の課題とした、安倍九条改悪を発議させない運動では、三〇〇〇万人署名の目標を年末までにやり切ろうと提起しました。八月一一日の沖縄県民大会は台風が近づく中、七万人が参加し、辺野古新基地建設に反対する大規模な集会になりました。北東アジアの平和の激動の中で新基地建設の前提は崩れています。翁長知事の「辺野古に新基地をつくらせない」という遺志の実現を呼びかけました。
 経営面では、総会方針が打ち出したアウトリーチのとりくみ、「2つの柱」を大いに実践する中で経営改善の前進を訴えました。格差と貧困の拡大、医療情勢の変化の中で、民医連の医療活動のあり方、民医連の医師へ確信を持つことへの共感、医学生対策の強化を「多職種共同の医師養成」をキーワードにしてすすめようと提起しました。
 その後、民医連綱領学習ハンドブック作成について、二〇一八年度上半期決算(案)の提出、会計・監査の報告がありました。
■発言で議論深まる
 二日間で、文書一二本を含む六一の発言がありました。
■沖縄県知事選挙…沖縄の座波政美評議員は、翁長県知事の遺志を受け継ぎ、平和な沖縄をめざして沖縄県知事選挙に勝利し、辺野古新基地建設を止めるため、全国支援を呼びかけました。
■災害…広島の佐々木敏哉評議員と岡山の藤田文博評議員は、西日本豪雨災害の被害状況と支援活動の報告。今後について、他病院との連携の大切さが課題となりました。熊本の光永隆丸評議員は、熊本震災における医療費窓口負担免除の復活をめざすとりくみを報告。兵庫の東郷泰三評議員は、大阪北部地震で幹部との連絡が取れなくなり、LINEの連絡網で対応した経験を報告しました。
■平和・署名活動…滋賀の今村浩評議員は、世界医師会決議の画期的意義にふれ、ヒバクシャ国際署名を、自治会へ広げていることを報告。石川の津田真理子評議員は、九〇歳の入所者から戦争体験を聞き、「笑って、食べて、好きなことができる日常」の大切さを学び、署名目標数の達成だけでなく、憲法九条改憲を止めるまで、三〇〇〇万人署名をやりあげようと訴えました。
■「2つの柱」・SDHの定着…栃木の関口真紀評議員は、SDHへの関心は他病院にも共通しており、地域連携のキーワードになると報告しました。奈良の横山知司評議員は、福島第一原発事故避難者には、事故から七年が経過する中で、生活面で困難を抱えている人が多く、健診の問診にSDHの視点を入れた項目を増やしたことを報告しました。千葉の岡田朝志評議員は、医療活動部と共同組織部を合同し、医療活動まちづくり部とさせ、医師政策づくりに関わることを報告しました。
■地域の福祉力とまちづくり…山梨の清水季世子評議員は、「まちづくり部」を確立し、「誰一人孤立させないまちづくり」をめざし、地域行事に参加したり子ども支援プロジェクトにとりくんでいると報告しました。埼玉の山田昌樹評議員は、多世代食堂のとりくみを報告。食堂に来られない人にアウトリーチのとりくみをすすめると発言しました。島根の祖田智幸評議員は、他団体と協力したフードバンクしまね「あったか元気便」のとりくみを報告しました。
■人づくり…福岡の豊田文俊評議員は、福岡・佐賀民医連創立五〇周年記念レセプション「福岡・佐賀民医連の現在、過去、未来」を報告。五人の青年職員が貧困、高齢化問題に目を向けて行いました。長野の近藤友子評議員は、看護幹部養成のとりくみを報告しました。研修ではなく学校という形で行い、自ら学習を行うことで民医連運動を学びました。
■前進的な医師確保…大阪の坂田進評議員は、「2つの柱」の医療実践や理念に共感してくれたことで、前年比九人増の医師確保につながった経験を報告しました。群馬の高坂浩明評議員は、医師政策改定に向けて、研修の充実にとりくんだことを報告しました。大分の酒井誠評議員は、総合診療専門医プログラムで大学と民医連の枠を超えて連携できていると報告しました。
■医師養成…宮城の宮沼弘明評議員は、医師養成新時代における医師関連事務の重要性を呼びかけました。医師関連事務の育成の視点を重視して配置するよう提案しました。京都の松浦ときえ評議員は、多職種カンファレンス塾のとりくみを報告。医師の確保、養成は多職種の養成にもつながっていると報告しました。
■全国的とりくみ…長野の日高大地評議員は、特養あずみの里裁判の経過と、今後のたたかいについて報告しました。福島の北條徹評議員は、郡山医療生協の経営改善について報告しました。神奈川の原弘明評議員は、九月九~一〇日に行われる共同組織活動交流集会を成功させましょうと呼びかけました。


沖縄県知事選挙へむけた学習
①「民医連新聞」号外を九月上旬に発行。
②学習用DVDを九月上旬に各県連へ発送。

(民医連新聞 第1675号 2018年9月3日)

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