医療・看護

2018年9月4日

学んで 悩んで 成長した 2018年夏 患者さんと向き合い社会に発信する医療者に

 夏は学びと交流の季節。今年も各地で看護学生たちのとりくみが旺盛に行われました。同じ夢を抱く仲間たちと語り合い、医療への思いを深めた夏。それぞれのとりくみを寄せてもらいました。

北海道

子どもの貧困から医療を考える

 七月二八~二九日、第一五回MS(Medical Student’s)フェスタ二〇一八を札幌市内で開催しました。看護を学ぶ学生三四人を含む四三人が参加。「子どもの命と未来を守る~笑顔をたやさないために」がメインテーマです。
 実行委員会では事前学習を重ね、「保育所の待機児童の実態」「貧困と児童虐待」「北海道の学習支援」「貧困の背景と連鎖」について発表。定時制高校の養護教諭の人から「保健室から見える子どもの貧困」について聞きました。その後、子ども食堂、学習支援施設、生活と健康を守る会、勤医協歯科、札幌病院小児科外来を訪問し、子どもの貧困の実態を聞きました。
 参加者から「貧困が子どもの心と身体の成長・夢を阻んでいる現実を知った」「患者さんの人生もとらえられる視野の広い看護師をめざしたい」などの感想が寄せられました。(釣本道子、事務)

東海

高齢者体験で看護のあり方学ぶ

 八月一〇~一一日、天童ホテルで「第二九回T6ENC(東北6県エッグ・ナース・サークル)in山形 」を開催し、東北地協から九八人が参加しました。T6ENCは毎年開催し、東北各県の看護学生と職員の交流、民医連の看護への理解を深めることが目標です。
 今回のテーマは「Story ~自分らしく~」。おもに認知症と高齢者について学びます。認知症患者ひとりひとりの「人生―Story―」を尊重し、「自分らしく」生きていくために、看護師としてどのように寄り添うかと考えます。
 一日目は認知症サポーター講習や認知症認定看護師の講演・グループワークを通し、基本から事例まで職員のアドバイスを受けながら学びました。二日目の高齢者体験企画では、疑似体験セットを装着しての歩行や伝言、豆移しなどを体験。思った以上に体が動かない、普段見えているものが見えなくて怖いなどの感想でした。今回の学びを今後につなげたいと思います。(上野大河、実行委員長)

北関東・甲信越

民医連の医療と憲法を学ぶ

 八月一九日、第九回北関東・甲信越ナース・エッグ・フェスティバルを開催し、学生・職員合わせて一四○人が参加しました。「私たちは守られている~守ってくれるものは何?~」がテーマ。二一人の実行委員学生が民医連の医療と憲法を学び準備してきました。
 開会式は自己紹介、班対抗ゲームでにぎやかにスタートしました。群馬・前橋協立病院産婦人科の白石知己医師が「憲法と健康と医療」と題して講演しました。白石さんは産婦人科での事例から、平和を考え、社会に対してアクションを起こし続けてきたこと、医療者が憲法について考えることの意義など多彩に話しました。
 学生からは「憲法は身近だと分かった、もっと学びたい」などの感想が出ました。「自分たちに何ができるか」との問いには「一人ひとりの選挙権の重みを考える」「患者さんと家族の笑顔を大切にする」などの声があがりました。
(太田秋菜、事務)

関東

11月開催に向け学習深める

 関東地協は一一月一七日のNurse Egg Festival(NEF)開催に向けて、看護奨学生と職員含む第一回実行委員会を七月二八~二九日に行いました。
 この合宿の目的は、NEFのテーマと実行委員長を決めること。二つの目標、①民医連医療を知り、それを通して医療・看護のあるべき姿を考えよう! ②同じ目標を持つ仲間と主体的に交流し、互いに学び合い、楽しもう! に沿って、学ぶことに向き合いました。
 合宿一日目は、広島で開いた全日本民医連総会と水俣病を題材に意見交換。最後にグループワークの発表も行いました。学生が積極的に発言し、職員も学生の疑問に答え、医療に留まらず、人権や環境、平和問題へと発展しました。
 二日目は、実行委員長、副実行委員長が決定。一日目を振り返り、差別・子どもの貧困・水俣病などキーワードを絞りこみ、テーマについて議論しました。主体的に発言し疑問をだしながら民医連の医療看護に近づきました。
(日向寺美恵子、看護師)

東海・北陸

ロールプレイで患者の気持ち考える

 八月一一~一二日、東海・北陸地協看護学生の集いDANSを富山県内で開催しました。「信頼関係・ラポール~つながる笑顔~」をテーマに、他県の仲間と交流しながら認知症について学習し、患者の気持ちに寄り添う看護について学びました。高齢者体験の装具を使用し、高齢者はどんな介助を必要としているのかを体験。ロールプレイでは、患者役の迫真の演技に対応し、どんな声かけが患者の心に響き、寄り添った看護へとつながるのかなど、グループで意見交換し、学び合いました。
 二日目は、富山大学名誉教授の鏡森定信さんが「イタイイタイ病」について講演。真実を知らないことの怖さ、病気だけでなく生活背景を知る重要性、再発防止、環境改善に医療者もかかわり、地域との信頼関係が力になることを学びました。同じ志を持つ学生同士が交流し新たに築いた信頼関係は、今後の学生生活のささえ、夢への力になったと思います。
(金崎仁美、事務)

近畿

煌楽明輝(きらめき)~輪希挨逢(わきあいあい)平和を願って

 八月一七日、第一六回ENS(egg nurse step↓B)近畿地協看学生ゼミナールを大阪市内で開催し、看護学生と職員合わせ約一三〇人が交流を深めました。
 職員学習班の書き下ろし寸劇「私たちが伝えたい民医連看護」では、「あきらめない看護」「平和であってこその看護」をテーマに、人に寄り添うこと、いのちの平等とチーム医療、民医連綱領と憲法九条について描きました。学生から、「患者さんと向き合うことの大切さをあらためて感じた」「民医連のこと、憲法のこと、戦争のことを知った」「民医連の看護に感動した」との感想でした。
 MIN―IRENを知ろう企画(今年初めての「学生同士で語ろう」、恒例の「看護師と語ろう」)では、日頃の悩みや不安を共有し「いろんな人と交流でき、たくさんの意見が聞けてよかった」「患者さんのこと、私生活のこと、看護師さんの生の話が聞けてよかった」などの感想が寄せられ、臨床のリアルな話から、民医連の看護を感じてほしいと感じました。(徳田文、大阪民医連事務局)

中国・四国

広がる格差を学び自ら調べて発表

 八月七~八日に愛媛県内で中四国地協DANS(Dear Active Nursing Student)があり、学生六二人、職員三六人が参加。愛媛の学生たちが坊っちゃんとマドンナに扮して出迎えました。
 今年は「Me can connect!~格差の責任はどこに? 負の連鎖からの脱出~」と題し格差と貧困について学習しました。愛媛大学の鈴木靜さんを講師に現代の人権保障について聞きました。潜在化する貧困を見るためにはどうしたらよいかなどの話に、「貧困であることが窮屈にならないとりくみが必要」との感想が寄せられました。
 講演のあとは、県ごとに調べたことを発表しまました。開催県の愛媛は「生活保護制度」をテーマに、制度の仕組みや事例を通して考えたことを報告。学習の後は交流企画。「楽しかった」「来年も参加したい」という感想も聞かれました。(近藤奈津紀、看護師)

九州・沖縄

奨学生が平和ガイドに

 八月一八~一九日に、第一五回九州・沖縄民医連の看護学生のつどいを長崎で開催し、六二人が参加しました。テーマは「Safe Life~まもろう私たちの生活・みんなの命~」です。一日目のメイン企画は、ヒバクシャ国際署名キャンペーンの林田光弘さんと、長崎健康友の会事務局長でN―DOVE(「長崎から民主主義と平和を守る」青年団体)で活動する國貞貴大さんが、反核平和など社会問題にかかわる思いや、看護学生への期待などをトーク。「世界で起きていることで自分に無関係なものはない。平和と人権のアンテナを高く」などの話が心に響きました。
 二日目は被爆の遺構をめぐるフィールドワーク。長崎の奨学生が学習と準備を重ね、ガイド役をつとめました。自分たちの言葉で話すことを意識し、平和公園や浦上天主堂などをめぐりました。
 グループ討議では、「相手を尊重することや関心をもつこと、知ること、伝えることの大切さを感じた。できることから行動したい」という意見や「人の命を守る職種として平和の大切さも主張していく必要がある」などの感想が出ました。(原口菜々子、事務)

(民医連新聞 第1675号 2018年9月3日)

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