医療・看護

2018年10月2日

ひめは今日も旅に出る(13)「いざ、お出かけ三昧」

 思い立ったが吉日! がモットーの私だが、重度障害者になると、さすがにそうもいかない。とくに旅支度には手間と時間とお金がかかる。例えば飛行機に乗るためには主治医のお墨付きの診断書やもろもろの手続きが必要。それでも、「行けるときに行っとこう」を合言葉に、友人、家族との時間を楽しむ旅が始まった。
 2017年4月末、青森へ。念願だった弘前の桜をたっぷり愛でる。そして幸運なことに弘前城のお堀を埋め尽くすピンクのじゅうたん(花いかだ)にも遭遇。圧巻のひと言。おいしい青森の食の数々を堪能しながら、残雪残る岩木山と弘前城を横目に、満開の桜を眺めながら歩いた弘前公園のお散歩は、すがすがしい春を全身で感じる至福のひと時だった。
 5月、京都へ。青もみじをはじめ、新緑のみずみずしさと生命力にエネルギーをもらう。バリアフリー完璧な永観堂の、青もみじに囲まれた池に咲くハスの花。カキツバタの庭園は、ずっと眺めていたいくらい素晴らしかった。京都在住の姪っ子や友人たちとの再会も果たし、心あたたまる大きな励ましをいただく。
 7月、函館へ。朝から晩までおいしいものを大満喫し、にんまり。美しい夕焼けや雄大な景色にほれぼれ。バリアフリーホテルで、シャワーチェアーのまま露天風呂に浸かる。人工呼吸器をつけたまま、女子3人がかりで挑戦し大成功。ポカポカいい気持ちが続くしあわせを味わう(湯ぶねに浸かるのは4カ月ぶり)。本当にうれしかった。
 旅での豊かな時間が、日々の暮らしを愛おしむ力になった。さあ、今日も笑顔で。


文●そねともこ。1974年生まれ、岡山県在住。夫・長久啓太、猫2匹と暮らす。2016年、ALS(筋萎縮性側索硬化症)と診断をうける。

(民医連新聞 第1677号 2018年10月1日)

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