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2018年10月2日

第14回 全日本民医連 共同組織活動交流集会 in神奈川 手つなごう 地域のきずな

 全日本民医連第一四回共同組織活動交流集会では、二日間にわたってたくさんの全国のとりくみが交流されました。一日目の全体会でのリレートークと、二日目の分科会から、その一部を紹介します。

 二年間、全国各地でさまざまな活動にとりくみました。リレートークでは、その中でも大きく発展した四つのとりくみが報告されました。
 兵庫・尼崎医療生協の社保・平和委員会の尾島紘之さんは、三〇〇〇万署名と平和憲法を守るたたかいについて報告しました。改憲がいかに危険か、市民に知ってもらうため、まず社保平和委員会や支部、理事会、職場など少人数で学習を行い、三〇〇〇万署名にとりくみました。
 毎日ニュースを発行し、毎月一九日は市民といっしょに署名行動。組合員に機関紙とともに署名用紙を郵送するなどして、目標の二万四〇〇〇筆を達成しました。「今、何ができるのか」を話し合い運動にとりくみました。
 静岡西部健康友の会の村松幸久さんは、なんでも相談会から見えた暮らしについて報告。ある患者は経済的理由で受診を控えていたところ持病が悪化。休日の当番医だった浜松佐藤町診療所を受診し、相談会から無料低額診療、生活保護受給につながりました。相談会は二〇〇四年の五月から、毎月第三木曜日に実施。相談内容は医療のことだけではなく多岐にわたります。友の会や診療所がいのちのよりどころになっていると感じています。
 石川県健康友の会金沢南ブロックの山下明希さんは、子育て支援・居場所づくりについて、二年前に設立した、交流ひろば「みのり」の活用や役割を報告。月平均六四〇人が利用する「みのり」は食事会や医療懇談会、体操教室だけでなく、子育て支援として、寺子屋みのりや子どもシネマ食堂を開催しています。友の会の枠を超えて、地域の人も気軽に利用できます。「みのり」が信頼、安心できるよりどころになれるよう、これからも希望と困難とともに歩いていきたい、と語りました。
 埼玉・医療生協さいたまの丸山久美子さんは、退院後の組合員訪問を報告。「退院した人は前の生活がそのままできているのか?」という疑問から、有料ボランティア「くらしサポーター」が発足。退院支援をすることになりました。組織担当者が退院カンファレンスに参加し、地域のつながりが必要だと思う患者に、退院後の生活の様子を聞きにいきます。そこで「くらしサポーター」の案内をします。了承を得ると、組合員に声をかけいっしょに訪問をしています。「出会えてよかった」「あそこに相談すれば大丈夫」と思われる存在になれるように活動を続けています。

夢をもって居場所づくりや平和の活動を

笑い、涙ありの分科会

特別分科会

憲法9条をかかげ、平和を守るとりくみ

 現役の総理大臣が在任中の改憲を明言する異常な事態となっています。沖縄に次いで米軍関連施設が多い神奈川で開かれた今集会では、憲法9条、平和を守る活動について特別分科会を開きました。
 講演したのはリラン・バクレーさん。アメリカ・テキサス州出身で、二〇年以上、神奈川県で暮らしています。在日米軍への思いやり予算をテーマに「ザ・思いやり」「ザ・思いやりII」を製作し、各地で上映会を行っています。
 バクレーさんは実際の映像を紹介しながら、「普段、政治的なことに興味のない半数以上の人にも面白いと思ってもらえることを心がけた」と話しました。「疲れない」「赤字を出さない」「夢は大きく」などのポリシーも紹介し、「私の夢は、日本にある米軍基地を一〇〇%なくすこと」と語り、「運動をより面白く、より広く、より鋭く!」と呼びかけました。
 その後、三つの分科会に分かれて交流しました。第一会場では、「安倍9条改憲NO! 総がかり実行委員会」を立ち上げ、雪の日も行動(青森保健生協)、民医連以外の事業所と連携しピースコンサート開催(京都・洛北診療所)などのほか、米軍施設で漁業が成り立たない佐世保港で初の平和行動実施(長崎・させぼ健康友の会)、「脱原発仙台市民会議」の一員として放射能測定や再稼働反対の活動に参加(宮城・泉病院友の会)など六本の報告がありました。

第5分科会(4)

共同組織を大きくするとりくみ

 共同組織の発展へ向けた実態調査や組織計画の見直し、魅力的なサークル活動や居場所づくり、仲間増やしの実践など一〇本が報告され、寸劇や合唱も行われるにぎやかな分科会になりました。
 東京保健生協とやまがた健康友の会は、組合員・友の会員の実態調査の結果を報告。実態を組織づくりに生かすとりくみに「詳細が知りたい」との声も出ました。京都・上京健康友の会は「なかまフェスタ」で行った戦争を語り継ぐ寸劇を実演しました。
 奈良・平和会健康友の会夕陽ケ丘診療所支部は「手配り率八〇%会費納入率八一%」、北海道・道南勤医協江差健康友の会の片石久美子さんは「江差町の人口比三〇%の友の会員」と報告。秘訣を問う質問が相次ぎ、片石さんは「友の会三〇年の歴史の中で仲間増やしを柱に長いつきあいを続けてきた結果」と振り返りました。
 三年前に設立し地域に根ざして歩み出したと報告した愛知・呼続(よびつぎ)はみんぐ歯科は、「友の会づくりが課題。みなさんどんな活動を?」と問いかけ、参加者からも各地の活動が紹介されました。

第3分科会(1)

たまり場―居場所づくりの実践の交流

 共同組織が地域の要求に応えて子ども食堂や学習塾、高齢者の居場所づくりをすすめています。一〇演題が報告されました。
 東京・三多摩健康友の会は、「コミュニティハウスアウル」の実践を報告。カレーを食べ映画を見る会や憲法カフェ、子どもの勉強会などを紹介しました。
 神奈川・川崎医療生協の「ルーム三色すみれ」は、経営危機で診療所建設を断念した地域に、「せめて、組合員のたまり場がほしい」との要望から出発。開設から八年の間に、毎月二〇〇人を超える組合員が利用。食事会や絵手紙サークル、映画会、また社保学校の開催も。新しい班もでき、障害者団体とのつながりもできました。スタッフをどう育成しているのかとの質問に、地元にアンテナをはり、つてをたどる、趣味を生かしてほしいと声をかけると協力してもらえるとの回答でした。
 香川医療生協は事業所のない小豆島での居場所づくりについて報告。無料で提供された古民家を自分たちで改修し、見積もりでは二〇〇万円だった費用を七七万円に抑えたこと。エアコンや食卓、テレビを探していると無料で提供してくれる方も現れ、つながりづくりにもなり、今年は一〇の班が新しく誕生したと報告しました。

第6分科会(1)

夢を実現する事業活動のとりくみ

 これからの事業所を発展させるため、医療生協や友の会の組合員と職員や他施設と共同して行ったとりくみ九本が報告されました。
 神奈川・川崎医療生協の模擬患者の会は、職員育成と組合員の医療知識が深まる場になっています。研修医や看護師などを対象に、撮影しながら医療現場を再現。患者役は組合員が行います。ビデオを見ながらフィードバックをして後継者づくりにとりくんでいます。
 石川・城北病院は新病院建設中です。そこから約三〇kmも離れた南加賀ブロックから、新病院建設成功のため資金参加を呼びかけています。「どんな集まりでも人が集まる場所では寄付を呼びかけよう」と班会以外にも新年会などで呼びかけを行っています。
 神奈川・訪問看護ステーションさがみでは、看護大学の在宅看護実習の受け入れをしています。在宅の様子がわかることは看護師にとって大切です。また、学生の訪問は患者や家族にとってもいい刺激になります。看護学校を持たない県連が多い中、実習を受け入れ、後継者を育成することは重要な課題だと話しました。

(民医連新聞 第1677号 2018年10月1日)

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