MIN-IRENトピックス

2018年10月2日

辺野古新基地建設許さない 私たちの思い

文・武田力(編集部)

 8月11日、沖縄県那覇市で「土砂投入を許さない!ジュゴン・サンゴを守り、辺野古新基地断念を求める8・11県民大会」が行われ、7万人が参加しました。沖縄民医連の共同組織や職員も多数が参加。沖縄医療生協の組合員3人から思いを聞きました。

憲法9条活かしてこそ

岸本清さん
(沖縄医療生協名護支部運営委員、名護市在住) 

 8月11日の県民大会には、台風が近づく中で目標の2倍を超える7万人が集いました。関心の高さと広がり、「これ以上、基地の負担を押し付けられるのはイヤ」という県民の強い意志を感じました。
 政府は「県民に寄り添う」と言いながら、強権的に基地を押し付けることしか考えていない。「負担軽減」を言うのなら、まず辺野古に新基地を造るのをやめてほしい。ジュゴンやサンゴ礁などの貴重で豊かな生態系は、1度破壊されたら元に戻せません。自然を守って安心・安全に暮らす環境を守ることは、沖縄の経済や観光にとっても重要なことです。
 地位協定の問題など、米軍基地のある他国と比べても異常な従属が続いています。米軍は日本の航空法も無視して、危険な低空飛行や夜間飛行も野放し状態。オスプレイが保育園や小学校の上を平気で飛び、事故が起きても日本政府はまともに抗議すらできない。沖縄だけの問題ではありません。
 沖縄は歴史的に近隣の国々との交易・交流を通して友好的な関係を築いてきました。朝鮮半島の非核化に向けた対話が大きく進展しようとしている時に、憲法9条を活かした外交こそ求められています。新基地建設の強行はその流れに逆行しています。

絶対にあきらめません

赤嶺典子さん
(沖縄医療生協伊良波支部長、豊見城市在住)

 沖縄県民が自ら望んで造られた基地は1つもありません。新基地建設反対の民意は何度も示されています。
 沖縄県民の民意をさんざん無視してきたのが自公政権です。知事選で自公政権が支援する候補を勝たせてしまったら、「県民は初めて基地建設を認めた」と言われてしまう。絶対に許すわけにはいきません。
 辺野古新基地の大浦湾側の護岸工事が中断した背景には地盤の問題があります。海底の深さ30メートルまでがまるでマヨネーズのように軟弱なうえ、活断層の存在も指摘されています。こうした問題を解決するには基地の設計を変更するしかなく、変更には改めて知事の承認が必要です。だから翁長知事の遺志を引き継ぐ知事が誕生すれば、必ず工事を止めることができます。絶対にあきらめません。
 私は助産師として定年まで民医連で働きました。戦跡めぐりや沖縄戦の証言を聞く活動を通して、戦争がいかに悲惨で人の心を失わせるか学んできました。次代を担う子どもたちに自然豊かで平和な沖縄を手渡したい。
 「沖縄の負担軽減のために基地の一部を本土に引き取るべき」という運動があります。でも、私たちの痛みや苦しみを他の誰かに負わせたいわけではない。米軍基地や日米安保条約は、戦争やテロの危険を増大させている存在なのでは? みなさんと一緒に考えていければと思います。

沖縄戦の記憶と教訓

平良宗潤さん
(沖縄医療生協糸満東支部運営委員、糸満市在住) 

 沖縄戦で私の父は地元の防衛隊に召集されて戦死しました。母と私たち5人の子どもは、戦火を逃れて糸満から嘉手納へ。やんばるの森の中で3カ月間、食うや食わずの生活をしました。ソテツの茎みたいなものまで食べて、なんとか生き延びました。
 その後、米軍の捕虜になって収容所で1年以上暮らしました。戦後も母子家庭の苦労は並大抵ではなく、悔しくて切ない思いをたくさんしました。戦争につながるものは認めたくない。新基地建設に反対する根底には、戦争で多くの犠牲を強いられた記憶と、そこから得た教訓があります。
 戦後も沖縄は、日米両政府から侮辱的・差別的な処遇を受けてきました。しかし、プライス勧告に反対する島ぐるみ闘争や祖国復帰運動をはじめ、非暴力・非協力の運動でこれらを打ち破ってきた歴史があります。この闘いの教訓と伝統が、辺野古の座り込みにも生きています。
 辺野古の新基地建設にかかる費用は日本が全額負担すると言います。美しい海を埋め立てて、耐用年数200年の基地に1兆円を超える税金が注がれようとしている。黙って許していいのですか。沖縄県民だけの問題ではありません。全国のみなさんがそれぞれの地域で民主主義を育てながら政治的課題を解決していくことが、今の政権を包囲することにつながります。全国の平和と民主主義を求める運動が幅広く合流する中で、沖縄の問題も解決すると思うのです。

米軍が強制接収した土地を“一括払い”で半永久的に使用できるようにする内容が含まれていた。沖縄県民の島ぐるみの闘いによって、土地使用料を原則1年ごとに支払わせることで決着。

いつでも元気 2018.10 No.324

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