いつでも元気

2018年10月31日

昔ばなし苦労話自慢話 
「はな垂れ小僧」

医療や介護の現場で使える回想法を紹介。懐かしい写真を通して会話が弾めば班会やサロンが活性化、認知症予防にも。懐かしい写真と回想のヒント、そして会話のコツを紹介します。

須藤功撮影(1967年、群馬県片品村)

須藤功撮影(1967年、群馬県片品村)

回想のヒント

 寒くても外で遊ぶのが当たり前だったこの時代。
 メンコを抱える男の子の表情はちょっと誇らしげ。
 男の子の鼻の下や服の袖はどうなっていますか?

私の“旅芸人風”回想法

 私は全国をまるで旅芸人のようにまわりながら、回想法の“公演”をしています。最初にチェロを弾きながら、皆さんと季節の唱歌を合唱(実は“オケ老人”)。次に昔懐かしい「はな垂れ小僧」の写真を見せて、「おぼえているかい故郷の村を」(リンゴ村から)と歌います。
 歌いながら、会場の皆さんに問いかけます。はなをかむ時、お母さんは何と声を掛けてくれましたか? 「チーン」ですか、「シューン」ですか、「フーン」ですか。皆さん手を挙げてください。
 歌詞カードなしで何度も合唱すると、次第に思い出して上手に歌えます。これはNHKラジオ「三つの歌」の手法。歌詞カードを読むのではなく、記憶を呼び覚ますことに意味があります。
 公演先が農村なら、田植え、牛飼いなど農作業の写真をご覧いただき、農業の技術を教えてもらいます。農業は脳裏に焼き付いた、体に染み込んだ記憶です。それを写真を糧に思い出してもらうのです。長期記憶の素晴らしさを共に実感して公演は幕に。最後は「また来てね、また教えてね!」。


鈴木正典
島根・出雲市民病院麻酔科医。1947年、福井県生まれ。鳥取大学医学部卒。著書に『認知症予防のための回想法』(日本看護協会出版会)、『想い出かたり』(かもがわ出版)など

いつでも元気 2018.11 No.325

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