医療・看護

2018年11月6日

ひめは今日も旅に出る(15)「明日もモーニングケアから!」

 ひめの主たる介護者でオットの、長久啓太です。岡山県労働者学習協会という団体で働いています。10月上旬、ひめ(以降は相方と書きます)が体調をくずし、ピンチヒッターをつとめます。
 「これまで、不条理な社会に抗いながら、それぞれが求められることに全力で向きあうというスタイルで歩んできました。バラバラ夫婦とも言われてきた私たちですが、おたがいを尊重しつつ、かなり自由にやってきた人生でもありました。これからは、今まで以上に、2人の人生の質を高める期間にしていきたいと思っています」。これは、相方がALSと診断された1カ月ほどあと、ブログなどに報告した文章の一節です。
 お互い好き勝手に生きてきました。相方からは「テキトー啓太」と揶揄(やゆ)されている私。でもこのテキトーさが、病気や介護生活に向きあう力と柔軟さになっていると、今は思います。以前とくらべ生活は激変。仕事量を減らし、自分の時間もとれなくなりました。増えたのはお酒の量。ワンオペ介護でシンドクなることもあります。でも、楽しいことを追求すること、不条理なことはスルーしないこと、人とのつながりを大切にすることなど、私たちが大事にしてきたことは、病気になってからも変わりません。多くの人にささえられて、猫に癒やされ、日々を生きています。
 今年8月、介護者が元気でないと良い介護はできない! を理由に、秋田県に「レスパイト旅」へ。レスパイトは、ふつう在宅療養のひとが施設や病院に入り、その間介護者が休息をとる形が多いですが、相方にその選択肢はありません。ならばぼくが出て行こう! とわが身解放の旅へ。貴重な自分時間に。許してくれる相方、サポートしていただくみなさんに感謝です。
 介護力も日に日にアップ。訪問看護師さんやヘルパーさんに「長久さんすごく手際がいいですね!」と驚かれます。いまや、介護も看護も語れる学習運動の講師・活動家になりました(笑)。明日も、モーニングケアから!


文●そねともこ。1974年生まれ、岡山県在住。夫・長久啓太、猫2匹と暮らす。2016年、ALS(筋萎縮性側索硬化症)と診断をうける。

(民医連新聞 第1679号 2018年11月5日)

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