医療・看護

2018年11月6日

相談室日誌 連載453 生活苦でテレビを処分するも受信料を支払わされて…(宮崎)

 相談者は六〇代後半の男性で結婚歴はなく、一人暮らしです。真面目で酒も煙草も口にせずことがなく、労作性狭心症で治療中です。精神過敏で不安障害もありますが、真面目にコツコツと塗装業を営んできました。五〇代後半で仕事中に転落し、右膝を打撲。以降、後遺症を抱えながらも何とか仕事を続けてきましたが、心身に限界を感じ、続けられなくなりました。
 仕事を辞めてからは、収入は月一〇万円の年金のみ。事故の後遺症に加え、循環器科・耳鼻科・眼科など複数の診療科に毎月受診が必要で、三割の医療費はかなりの負担でした。医療費捻出が難しいと相談を受けた際、生活保護申請も検討しましたが、年金収入から医療費を差し引いても、宮崎市の生活保護の最低生活費を若干上回るため申請ができませんでした。同時期、所持している四級の障害者手帳の更新時期だったため、上級取得が望めないかと主治医に相談しました。宮崎市では三級になれば任意で後期高齢者医療制度の被保険者と認められ、一割負担となります。無事に三級で認定され、後期高齢者医療制度の適用となりました。
 医療費の軽減は図れたものの、生活を切り詰めた状況は現在も続いています。車を処分し、NHKの受信料を支払う余裕がないためテレビも処分。ところがその後、NHK職員が訪れ、受信料の支払いを求められました。テレビを処分したことを説明しましたが、携帯電話のワンセグで視聴可能だと指摘され、受信料を徴収されてしまいました。この件以降、今まで以上にお金を使わずに生活しなければと思い、家の中でじっとしている時間が長くなり、気力・体力ともに落ちてしまったと相談を受けました。
 憲法二五条一項は「健康で文化的な最低限度の生活」を保障しています。しかし、相談者にはそれが保障されているとは言えません。相談者の状況を考慮せず、携帯電話所持を理由に受信料徴収するNHKには違和感・憤りを覚えます。誰もが生き甲斐を持って生活できる、理解と配慮のある社会であってほしいと思います。

(民医連新聞 第1679号 2018年11月5日)

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