医療・看護

2018年12月4日

ひめは今日も旅に出る(17)「ハッピーでいるための1歩」

 ALSの進行にともない私の介護が重くなるにつれて、介護をする側のカラダもココロも負担が増える。そうなると、日常生活を無事に過ごすことだけになりがち。介護者が元気じゃないと、私の過ごしたい日常生活はままならない。やりたいこと、相談したいこともすすまず、焦る気持ちが風船のように大きくふくらむ。
 一方で、夫は仕事して帰ってきても、お休みの日も、我が家でワンオペ介護が待ちうけ、気の抜けない毎日を積み重ねている。ストレスフルなことを強いてゴメンと感じずにはいられない。
 母には母の人生があるのに申し訳ないと引け目を感じながらも、母の協力がなければ成り立たない在宅療養にやり切れないもどかしさも感じる。
 カラダもココロもゆとりがないと、大切なことを前向きにちゃんと話しあうのは難しい。自分にも優しくなれない。
 私もハッピーでいたい、介護する家族もハッピーでいてほしい。お互いの笑顔を大事にするために、在宅の環境整備を整えよう! と遅まきながら意を決した。
 家族介護中心になる介護保険の限界を感じ、昨年11月に障害福祉サービスを申請。当初の回答は利用時間をもらえず、交渉を続けてようやく1月末、最重度の支援区分6、月207時間の重度訪問介護の支給決定が届いた。驚くことにわが自治体では、私が介護保険との併用第1号。これまで介護が必要な方に届いていなかったのではないかとも懸念され愕然(がくぜん)とした。そして、何より待ちわびた長い長い3カ月だった。
 これからは家族介護の軽減ができると安(あん)堵(ど)したのも束の間…現実は厳しかった。どこも人手不足が蔓延(まんえん)していて、長時間にわたる重度訪問介護を提供できる事業所を探すのに1カ月もかかった。さらに私たちを待ち受けていたのは、制度のことさえ知らない自治体担当者の無理解と人権感覚の欠如。こんなことにエネルギーをかけたくはなかったが、尊厳をかけたたたかいがはじまるのだった。


文●そねともこ。1974年生まれ、岡山県在住。夫・長久啓太、猫2匹と暮らす。2016年、ALS(筋萎縮性側索硬化症)と診断をうける。

(民医連新聞 第1681号 2018年12月3日)

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