MIN-IRENトピックス

2018年12月18日

改憲をあきらめさせるまで 医療生協やまがた

 九条改憲をねらう安倍政権が、その動きを加速させています。自公両党は、一一月二九日に野党の合意もなく憲法審査会(※)を一方的に開催。年明けから始まる通常国会で自民党改憲案の提出をねらっています。「安倍政権が改憲をあきらめるまで、署名を広げよう」。山形のとりくみを取材しました。

(丸山聡子記者)

 医療生協やまがたではちょうど一年前、「安倍改憲NO! 憲法を生かす全国統一署名」推進本部を立ち上げました。同生協の目標は三万筆。六月の総代会を区切りに、推進本部は七月にいったん解散しましたが、目標まで六〇〇〇筆余り残していたことや、安倍政権の改憲への言動を目の当たりにし、「年内に三万筆をやりきろう」と奮闘しています。

■「憲法を学ぶ」が力に

 協立大山診療所の目標は四〇〇筆。すでに四三〇筆を超えました。事務長の佐々木義広さんは、「特別なことはしていません。事業所でできる範囲のことをしっかりやろうと思って」と言います。
 まずは、診療所となんらかのつながりがある全ての人に署名を呼びかけ。併設の通所リハの利用者には、連絡帳を通じて管理者名で「健康と平和のために」と呼びかけました。連絡帳は利用者の家族が必ず目を通します。九〇筆以上が集まりました。患者さんの個別送迎でも、運転手の職員が対面で話して集めました。
 職員全員が気をつけているのは、「健康チェックや班会などで地域に出る時は、必ず署名用紙を持参する」こと。待合の目立つ場所に署名コーナーを設けました。
 鶴岡協立病院に隣接する老人保健施設せせらぎでも、目標を超えて約四〇〇筆を集めています。まずは入所している利用者と家族、以前の利用者や家族にも職員で手分けして電話かけ。自身の戦争体験をポツリポツリと語り、「子どもたちに、あんな思いはさせたくねぇ」と話した利用者もいました。
 「『時代に合わせて憲法も変えていかなければ』と署名を断る人もいます。そういう人たちとも対話し、憲法を守りたい私たちの思いを伝えることが大切」と事務長の高山勝也さんは言います。
 どちらの事業所でも、「署名を始める前に、憲法学習DVDを見て学んだことが大きな力になった」と口をそろえます。

■署名を集める人を増やす

 憲法を学び、語ることへの抵抗をなくし、署名を広げてきたのは、同生協第六学区支部。毎月一回、「たまり場」を開いています。
 「もともと日常的に憲法や政治の話をする場ではありません。健康講話などをしていた時間にDVDやスライドで憲法のことを学び、自然に話せるようになりました」と、同支部の山中玲子さん。
 地域の生協店舗の割引デーには店頭に立ち、一日で一〇〇筆以上を集めました。支部目標の一〇〇〇筆を超え、今では一二〇〇筆以上。「一人二筆、三筆でも、署名を集める人が増えてきたことが大きな力」と山中さんは言います。
 地域を回って集めたのは三川支部。「大きなお店もないから、全ての町内会を回ろうと決めました」と支部長の五十嵐照子さん。大雪の中、長靴で回ったこと、体調が悪く、「俺はできね」と言っていた人が近所を回って五二筆集めた、自民党支持の人が、「戦争だけはいやだ」と署名してくれた…。動けば動くだけドラマがありました。
 息子を過労死で亡くした五十嵐さんには、「理不尽な死はいやだ」の思いがあります。「理不尽に命を奪う戦争は絶対にさせない。その思いを署名に託してください」と訴えています。
 推進本部はニュースを発行し、毎月の会議で各支部、各職場の到達数を確認してきました。一二月七日現在、二万五八四三筆です。

※憲法審査会…憲法改正の手続きを定めた国民投票法(二〇〇七年成立)で衆参両院に設置が義務づけられている。憲法にかかわる議論のほか、憲法改正原案が提出された場合は、審査し、採決する。

(民医連新聞 第1682号 2018年12月17日)

リング1この記事を見た人はこんな記事も見ています。


お役立コンテンツ

▲ページTOPへ